新装版・ゲーテ全集 7
新装版・ゲーテ全集 7 / 感想・レビュー
twinsun
憧れるものへの熱中と挫折、シェークスピアへの思慕、多様な恋愛模様、上流社会側にあって封建制の矛盾への疑義と女性解放を隠さない気概、汎神論的な神を奉じ世界精神の必然的な発展を信じる楽観、人はみな友の腕にやすらぎを求めそこに胸のなげきをそそぐものだと信じきり、引き寄せられる人々の運命が収斂して高みをともに目指す修業時代。消化不良なのは数多の登場人物にもそれぞれの修業時代があり無限のドラマが広がっていることに思い至るからであろう。読了後読み返すレモンの花と閉ざされた唇のミニョンの詩は涙をさそう。
2022/12/11
泉のエクセリオン
イタリア紀行、シラーとの交流を経て完成したドイツ文学史上、記念碑的な教養小説。商人の息子ウィルヘルムは演劇の世界での成功を夢見る青年。フィリーネ、ラエルテス、貴族のヤルノらとの出会いを経て自己形成をし、演劇の世界でそれなりに成功するが・・。当初ゲーテはウィルヘルムを演劇の世界で成功し、修業時代を終了させ、各地を遍歴させ、親方として活躍させる物語を考えていたようであるが、そうはさせなかった。恐らく出来なかったのではないか。自己形成を果たした個人が活躍する社会を、どうしても描くことが出来なかったんじゃないかな
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