私の好きな孤独 新装版
私の好きな孤独 新装版 / 感想・レビュー
Shoko
朝や夜の静かな時間に、少しずつ読む。言葉、旅、日常、本、音楽。孤独を過ごすのに必要なものたち。 ソローの鋳掛屋や、メニューインの出会ったエレベーターの運転係。日常を生きる、人生を生きることを教えてくれる人々が印象に残る。ポーランドの「ほんのちょっとした隠れ家」という名のカフェ。店の椅子は、てんでんばらばらの古いもの。座ってコーヒーを飲んで過ごしてみたい。コーヒーといえば、アイリッシュコーヒーも飲んでみたくなったし、読みたい作家、作品も増えました。詩に通ずるものを感じた長田弘氏の孤独の時間。堪能しました。
2017/11/14
朝日堂
鋳掛け屋のトム・ハイドは、絞首台で人生を終えた男だった。絞首台に立ったとき、何か言いたいことはないかと訊かれて、トム・ハイドは答えた。「裁縫師たちに、最初の一ト針を縫うまえにその糸に結び玉をつけることを忘れるな、と言ってくれ」そう言いのこして鋳掛け屋は死んだ。百年まえの北アメリカの話である。目立たないが、こころのどこかにその存在を鮮やかに残す人がいる。それが読了しても印象に残るページだった。この箇所はヘンリー・デイヴィッド・ソロー『森の生活』にでてくるそうで、全編に漂う孤独感はその影響を受けたものだろう。
2013/08/22
ののまる
長田さんの文章を読むと、その言葉遣い、言葉選びに気持ちが澄んでいく気がする。エッセイで綴られている色や風、コーヒーや本、街、樹、音楽が、全く違った景色にみえてきて、何もかもに、きちんと独りで向き合って大切に時を刻みたいと思う。先日亡くなってしまわれて本当に哀しいけれど、こうして文章が残されている幸せ。
2015/05/15
Tenouji
完全なる自由を求める、心向き。「ひとは美徳によって生きない。じぶんがじぶんにもとめる気概によって生きるものだろうからだ」
2015/04/04
TOKUMOTO
おぼえがきに『私の好きな孤独』は、ウォールデンのソローの後姿を絶えず想い起こしながら、ただしソローとは逆に、日々の付きあい、なりわいの内にひそむ明るい孤独と静けさのなかへみずから入ってゆく、エッセー=散歩(Walk)の書として書かれた、とある。映画、本屋、ハードボイルド小説、ジャズ、コヒーなどを一人で楽しむことを知らされる。猫が好きかな。
2014/09/30
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