セバット・ソング
セバット・ソング / 感想・レビュー
いつでも母さん
福祉の問題を思う時、いつも理想と現実がせめぎあう。北海道大沼にある実在の児童自立支援施設と施設長・三浦氏がモデル。正直、苦しい読書だった。施設職員の思いだって一枚岩ではないだろう。そこで暮らす子供たちが抱えてるものや育った環境は創想像することしかできないが、生まれた時はまっさらで無垢だったはずなのだ。それが・・せめて自分に出来る事をと考えてしまう。まずは先入観を持たないこと。それは大人が一番先に出来ることだ。子供もいつか大人になる。日本中の子どもたちが安心して眠れる夜でありますように。
2020/07/24
おしゃべりメガネ
実はあまり読めてない谷村さん作品です。北海道に縁のある作家さんながら、なかなか手にとる機会がありませんでした。本作は最近、文庫化されていて、函館の大沼や札幌、釧路などが舞台として出てきます。作品全体としては読みやすく、ボリュームもそれほどでもないので、特にストレスは感じませんでしたが、なぜか物語に入りこめませんでした。登場人物の誰にも感情移入できなかったコトが原因かと。きっと自分が幼き頃から、至って普通に暮らしてきたからなんだろうなと。せっかくなので、他の谷村さん作品にチャレンジしてみたいと思います。
2022/11/22
ゆみねこ
北海道大沼湖畔に佇む2つの児童自立支援施設。院長を勤める・藤城遼平と一人娘・ゆき。ゆきはYouTubeを介して藤城の教え子・摩耶とその兄の拓弥と出会う。真の児童自立支援とは何だろう?親の愛に恵まれない子供たちを思うと心が痛みました。セバットは方言で凍結しない場所を言うのだと。施設が子供たちにとってのセバットであって欲しいと思いました。
2019/12/25
いたろう
セバットとは、「狭い場所」に由来すると言われるある場所の名前。北海道の大沼の一角、そこだけ湖水が暖かく凍結しない、シベリアから渡ってきた白鳥の越冬場所。この大沼の畔にある、問題のある子どもを入所させ、指導、支援をする児童自立支援施設を出た拓弥と摩耶の兄妹、2人を優しく見守ってきた藤城院長、そして、院長の娘、ゆきの物語。あとがきを読むと、摩耶と藤城院長にはモデルがいるということで、作中で摩耶が藤城院長に向けて歌った歌が、本当にYou Tubeにアップされていて、この小説が、本当にあった話のように思えてくる。
2020/01/01
秋風
北海道にある児童自立支援施設。何かしらの問題を抱え様々な理由で家庭から、生まれ育った場所からも離された子どもたちが生活している。施設の院長、藤城遼平の娘ゆきが退院生の摩耶の兄と出会い関係を深めていく。兄妹が育った厳しい環境、二人に向けられる世間の冷たい目と現実。彼等に手を述べる福祉の人たち。重い内容でしたがリアリティがあり惹き込まれました。「セバット」は温かい水がそこだけ注ぎ込み、唯一氷結しない場所。
2019/12/09
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