われ去りしとも 美は朽ちず
われ去りしとも 美は朽ちず / 感想・レビュー
trazom
大塚国際美術館の開館をモデルにした小説。改めて、三千年先まで劣化しない陶板で、世界の名画を、オリジナルと同じ大きさ・同じ環境で展示するという画期的な試みを実現した大塚正士氏(小説では鴻塚氏)の信念が胸に刺さる。国立公園内での建築計画の苦労以外にも、著作権問題や額縁の製作など、様々な困難があったことをこの小説で知る。複製する作品を選ぶ絵画選定委員会の先生方が登場人物の中心だが、偽物絵画とか、拝金主義などという心ない批判に晒されながらも、陶板美術の歴史的価値を信じて尽力する人間模様が、生き生きと描かれている。
2022/11/29
みかん🍊
鳴戸にある陶板で作られた世界中のアートが収められた大塚美術館、以前一度行った事があるがあまりに広大で全て回ることは出来なかった、いずれ朽ちてしまう素晴らしい絵画を陶板で作る事により2千年は残す事が出来る、東京や大阪ではなく社長の地元である鳴戸で設立されたのは観光客を呼び入れる目玉になり地元に還元するためという思い入れもあった、この壮大な美術館を作る為に奔走した社員や美術関係者の目を通じて描かれる壮大なプロジェクトには読んでいてわくわくさせられた、これはもう一度行かねばなるまい。
2023/11/07
しいたけ
大塚国際美術館のこと、わかっていないままにしていた。建設に関わった漢たち・・社長や技術者、職人、女性美術史学者、女子駅伝の選手たち、みんなカッコよくて惹きつけられた。新しい試みにお約束の横槍や光圀公の印籠の出し方にもワクワクした。人気があるんだなあくらいにしか思っていなかった美術館。遠いし、何より無知だったせいなのだが、俄然行きたくなってしまった。
2023/02/19
レモングラス
徳島県鳴門市の大塚国際美術館(米津玄師さんがNHK紅白で歌った場所)がモデル。設立までの陶板製作の現場、版権取得の交渉、国立公園内での美術館建設の大変さ、関係者への取材に基づいての小説。海外で陶板絵画の意義が認められ、陶板絵画批判派の執拗な攻撃もトーンダウンする。設立に関わった方すべてに拍手を送りたい気持ちで読み、それぞれの方の人生も重なり感動した。家族で読んで出かけたい。入館料大人は三千円で子ども学生は五百円と決めたのはこの美術館で知識を得ていつか本物を見に行く種まきをするのが役目、と。
2023/08/21
たいぱぱ
陶板に名画を焼き付け、永遠に美を遺す大塚国際美術館設立に奔走した人々の物語。「レジャーは大西に任せろ!」レオマワールドは行ったことありますが、恥ずかしながらそんな美術館があることを今まで全く知りませんでした。絵画は疎く原田マハさんを読んで、ほんの少しだけミクロン単位くらいで絵画の事を知ってるだけです。伊藤若冲は本物をみて恋に落ちましたが。この作品に出てくる反対派の人達と同じように陶板名画に懐疑的です。それでも設立に動いた人々の熱意に敬意を表し、大塚国際美術館で日本の技術をこの目で確かめたいと思いました。
2023/10/22
感想・レビューをもっと見る