星の塔 (ランダムハウス講談社文庫) (ランダムハウス講談社 た 8-1)
星の塔 (ランダムハウス講談社文庫) (ランダムハウス講談社 た 8-1) / 感想・レビュー
アッシュ姉
怖くて恐ろしい、妖しくて切ない。東北地方の民話をもとにした怪異譚。高橋克彦さんのホラーはすべて制覇したと思っていたので、未読の短編集があって嬉しい。現実世界から民話の世界へとりこまれてしまう様子に惹き込まれる。どれもモチーフが面白かったり、ハッとする結末が用意されていたりと興味深い。飽きのこない熟練の味わいを堪能した。装丁もお気に入り。黒猫ちゃんが可愛い。
2018/04/10
onasu
東北地方の山里を訪れる主人公が、盛岡生まれの高橋さんの描く民話の世界に招き入れられる。まずは、代名詞になっている遠野での話しから…。 執筆されたのは、昭和の末か。その頃は、まだ民話にあるような因習が生きていた村があったのか、そんな話しにも違和感がなかったのか。 四半世紀経た今では、民俗学の対象であったり、観光の目玉であったり。まあ、あの村には行っちゃなんねえ、生きて戻れねえ、何てとこは避けたい訳ですが、そもそも民話が今も生きている里なんて…。 裏表紙にもある通り、基本、恐ろしい話し集です。
2014/12/20
のぼる
東北地方の民話をベースとしたホラー短編。1作品は既読。 高橋さんのホラーは、その雰囲気が堪らなく好き。小池真理子さんとともに、自分の中では横綱。
2018/04/06
kai_sou@十五夜読書会
東北地方の民話をベースにした7編の短編集。まるで八つ墓村のような除け地の村、遠野、狐憑き、鬼伝説、箱神等古い怪談民話好きには心踊る(と言ったら悪趣味に思われるかもしれませんが)キーワードが散りばめられています。作中で実際の文献からの引用を用いながら語られていく物語は、過疎地の陰鬱でしっとりとした闇が物語のそこここに感じられ、時代設定が昭和な事もあり独特の雰囲気がありました。『寝るなの座敷』『子をとろ子とろ』が特に好みでした。ある1編に会津若松のさざえ堂が出てきたのは嬉しい驚きでした。
2013/03/29
yamakujira
7編の怪奇譚はどれも都会の男と田舎の女という取り合わせで、逃げた女を追ってきたり、現地で親しくなったり、会うことは叶わなかったりとパターンは違うけれど、運命のように怪異に絡めとられていくのは男のさがなのか。場所は変えながらも、すべて東北地方が舞台で、遠野は地方都市だとしても他は山深い閑村に滞在を強いられて、閉じた世界を連想させられる。東北には哀しく怖い話が多いと言うのは、それだけ侵略や天災や飢饉などに襲われた苛酷な地域だったってことなのかもしれない。行間にただよう怪しい雰囲気がよかった。 (★★★☆☆)
2022/09/05
感想・レビューをもっと見る