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しのびよる破局: 生体の悲鳴が聞こえるか

しのびよる破局: 生体の悲鳴が聞こえるか

しのびよる破局: 生体の悲鳴が聞こえるか

作家
辺見庸
出版社
大月書店
発売日
2009-04-01
ISBN
9784272330584
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しのびよる破局: 生体の悲鳴が聞こえるか / 感想・レビュー

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とよぽん

パンデミックやカミュの「ペスト」などの言葉を見て、いつの本?と思い、奥付を見て驚く。2009年3月、大月書店。腐った民主主義(憲法が棚上げされている)、駄作としての資本主義(経済は富者のために回される)、われわれはいま、人間的な価値の問い直しを迫られているのではないか。辺見庸さんは問う。そして日本は人間もあらゆる物事も金銭的価値に置き換える社会になって、それをマスコミや大企業などが当たり前のように推進している。悪が善の顔をして。価値の顛倒がこの国の普通の生活者を追い詰める。生体の悲鳴があちこちで・・・。

2020/09/18

寛生

【図書館】再読。無意識まで荒み、何に対しても無感覚になり、四六時中他人の顔よりスマートフォンやネットと向き合っている俺達。おかしいものをおかしいとさえ感じることが出来なくなった俺達。そこに苦しみ孤独で、解雇され寮を追い出され、頼る家族や金もない若者達や寒い夜路上で亡くなるホームレスをみてもみるふりをする俺達。脳梗塞の患者として辺見は医療に携わる人たちから幾度となく、あなたはだれか?いまは何年か?ここはどこか?と聴かれたという。だが、俺達にこそその3つの問が突き詰められるべきだ。応える事は出来ないだろうが。

2014/12/01

寛生

【図書館】闇の中に向けて一筋の光が差し込み浮かび上がってくる像。何年も永遠に祈りを重ねてきたカオスの真っ只中にやっと天から声がしてくるような本。もしかすると、どんな神学の本よりも神学らしく、絶望、希望、死、飽食と隣り合わせにある飢餓、資本とテクノロジーと労働条件、自殺と戦争、虚構の言葉とメディアの狭間で、信じ難く荒んでいる俺達の無意識が辺見のペンの力で現れてくる。そうなんだ、こんなにも俺達の人間性は狂っているんだ。人生は本当に生きる価値があるのか?人間とは一体何なんだ?なぜこんなにも孤独なのか?と問う。

2014/11/21

ちさと

著者の人格と心性に強く惹き付けられ、涙を流しそうになった。けれども。「駄作としての資本主義」を2度読んで、資本主義を社会科学として捉えることは無意味ではないかとも考え始めた。資本主義というのはシステムの一形態に過ぎず、人間生活をよくしようという意義はない。資本主義を規制することは、資本主義の優位性を疎外するから、それ自身に矛盾をはらんでる。著者の、あるいはその他内田先生も仰る「資本主義による内面の変化を見直し、再検討する必要があるのではないか」。みんなが幸せと思える社会はつくれるのか。

2019/02/18

yamayuuri

熟読。辺見庸って、こういうこと言う人なんだと初めて知った。中身としては、優勝劣敗が行くところまで行き、秋葉原事件のようなかたちで最悪の暴発が生まれているのではないかという論旨。辺見さんも少し言っているけど、弱い個人VS大きな力(政治、金持ち、企業など)ってわけではなく、弱い個人が個々に分断され、話が通じてないことのほうが、大問題だと思った。孤独の原因って、そういうことだろうと感じました

2010/08/18

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