猫のお告げは樹の下で (宝島社文庫)
猫のお告げは樹の下で (宝島社文庫) / 感想・レビュー
しんごろ
各章の主人公と一緒に「お告げ」をもらった気持ちになり、「お告げ」について考えてしまう。ストンとふに落ちれば、心が温まること間違いなし。ミクジがグルグル樹の下を駆け回る姿はかわいいだろうなあ。ああ、自分もミクジから「お告げ」をいただきたい。ミクジから「お告げ」をいただけなくても、優しそうな宮司とおしゃべりしてみたいな。でも所詮は物語。叶わないか…。あっ、読み終わってふと思う。おや、俺は運がいい。ミクジに会えなくてもこの物語に出会えたから。この物語を手元に置いて大切にしないとね。【読了通算700冊目】
2020/10/11
さてさて
”きっかけ”、”起点”というものが如何に大切かという視点を提示する青山美智子さん。主人公たちは、自分にしか解決することのできないそれぞれの悩みの中で立ち止まり、もがき苦しんでいました。そんな主人公たちが前に進む”きっかけ”、”起点”を見つけていく様を描いたのがこの作品。そんな作品の主人公たちは、たまたま手にしたカタカナ四文字の中にそれを見つけることができました。同じように何かに苦しみ身動きが取れなくなってしまっている私たち。そんな私たちが再び顔を上げ前に進んでいくためのヒントをいただけたように感じました。
2021/09/13
kou
どの短編も、心の底から、じんわりと温かい気持ちになれる読後感だった。そして、読めば読むほど、ミクジに会いたい。モフモフしたい。自身もお告げをもらいたい!って気持ちが強くなっていった(笑)。この本に出会えたことを「何かのお告げ」と思って、日々を過ごしてみようかなぁ。暫くは猫を見ると、何かを期待してしまいそうな気がする(汗)。
2021/04/20
へくとぱすかる
「ココア」と同様にリーダビリティ抜群で、楽しく読み終わった。たとえトラブルが重なっても、絶望的には不幸にならない話。癒しを求めて読む物語には、リアリズムなんかよりも、安心して読める方がずっといいと思う。連作だけあって、どこかでみんなつながっているのが、一冊目と同じく微笑ましいし、世の中がそんなに見捨てたものではないと、希望を抱かせてくれるから。仮のものでもいい。いつかはかなうと信じることが力になる。最もよかった作品は「タネマキ」でした。ミクジに会いたい。形のない存在とぼくらを取り持ってくれる不思議な猫。
2021/08/29
mae.dat
終始眼球ナイアガラ。と言うのは大袈裟ですが、終始潤んでおりましたですよ。はい。7人の主人公による短編集なんですけど。他人によっては取るに足らない。しかし当人にとっては些細ならざる悩みを抱えてて。それは多少形を変えて誰にでも訪れる可能性のあるもので。本編と同時に、儂がその境遇なら?現実の儂は?と、3つ位のストーリーが頭の中でぐるぐるしましたよー。問題は自身でぶち破らねばならないのですが、ねこちゃんが示唆を与えてくれるの。そうすると視界が開けてね、最後は前向きになれるのよ。周りの人達にも感謝感謝で御座います。
2022/02/09
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