護られなかった者たちへ (宝島社文庫)
護られなかった者たちへ (宝島社文庫) / 感想・レビュー
鍵ちゃん
仙台市で他殺体が発見された。拘束したまま飢え苦しませ、餓死させるという残酷な殺害方法から、担当刑事の苫篠は怨恨の線で捜査する。しかし被害者は人から恨まれるとは思えない聖人のような人物で、容疑者は一向に浮かばずにいた。捜査が暗礁に乗り上げるなか、二体目の餓死死体が発見される。一方、事件の数日前に出所した模倣囚の利根は、過去に起きたある出来事の関係者を探していた。利根の行動がもしかしてという思わせる内容だが、違和感があり最後はやはりと思わせる内容でした。最後に犯人が発したメッセージが全てです。
2021/09/30
あきら
とても考えさせられるテーマ。 世の中知らないこと、見えてないことが多すぎる。 色眼鏡で見ていることが多すぎる。 色んな人に読んでもらいたいお話でした。
2021/08/27
のり
うぉ〜。全てが作品名に込められている。あまりにも切なく苦しくなる。生活保護の受理と不受理の境は一体何なんだろう。自己申告の書類での判別。年配の方には記す事も高い壁となるし、不正受給している者もいる現実。限られた人員で役所も現地調査も難しいし、国の予算にも限度がある。それでも、底の底まで追い詰められている者も多数いる。そして本作でも餓死した老女を巡って殺人事件にも発展している。この難問はこの先益々大きくなるだろう。生き抜きって事は本当に難しい。
2022/01/06
東原そら
中山七里さんの作品、初読み。 少々固い文体ではあるが、ミステリーならば逆に、物語に締まりを出す良い演出になっている。 作品のテーマは生活保護。 物語の出来事が、実際の生活保護を受給希望する人達の間で頻発しているならば、痛々しい現実である。 政府や行政の在り方についても、中山さんは痛烈な批判を作品の中でメッセージとして、残している。 悲劇の連鎖の中で起きるこの事件は、深く考えさせる物語であり、実際には起きてほしくはない。 人としての倫理観を問う、素晴らしく重厚な物語だった。
2021/10/12
ALATA
公私ともに善人で人格者の福祉課公務員が二人、相次いで殺害された。殺害理由は何なのか。行政窓口業務を担当する者たちの苦労が忍ばれる、考えさせられるミステリーでした。すべてのサービスを受け入れ、万人の要望を受け入れるにはやはり限度はあるだろう。護れなかった者たちの叫びが聞こえる。★3※仕事で介護保険の申請したことがある。でも、「面倒ですから、やらない方がいいですよ」と窓口で言われゲンナリしたことが(ー ー;)
2023/05/06
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