伝染る恐怖 感染ミステリー傑作選 (宝島社文庫)
伝染る恐怖 感染ミステリー傑作選 (宝島社文庫) / 感想・レビュー
HANA
古くはポオの赤死病から近くは現在進行形のコロナまで、疫病に絡むミステリを洋の東西問わず集めたアンソロジー。コロナもそうだが疫病という次々に人が命を落としている中での殺人は如何なる意味を持つか。という命題かな。ポオは別格として西洋作品が病を事件の背景の一つとして使うものが多いのに対し、日本作品は時代が近いせいか渦中にある人間心理を扱っているものが多い気がする。ただ題材が題材なだけに両者とも陰鬱。個人的に面白いのは皆川博子「疫病船」と西村京太郎「南神威島」かな。とあれコロナの流行っている現在、臨場感が凄い。
2021/07/20
さっちゃん
コレラやエボラからコロナまで、様々な伝染病をテーマにした古今東西八編のアンソロジー。それぞれの作風で違った雰囲気が楽しめる一冊。西村京太郎「南神威島」がマイベスト。
2021/04/29
マツユキ
ポオの『赤死病の仮面』が読みたくて、購入。他にドイル『瀕死の探偵』、皆川博子『疫病船』、西村京太郎『南神威島』も読めて、お得なアンソロジー。伝染病がテーマで、書かれた年代もバラバラですが、その時代、舞台の空気を感じられました。伝染病は怖いですが、人間も厄介だな。初めて読む作家さんでは、水生大海さんの『二週間後の未来』が、ちょっと前の話で、面白かったです。
2021/10/01
うーちゃん
古今東西の"感染症"を扱った短編アンソロジー。装置の一部のような使われ方なのかなと思いきや、結構ストレートに感染症の恐ろしさを描いているものが多くて驚いた。ポーの「赤死病の仮面」なんて流石の一言。ブリューゲルの「死の勝利」を思い出した。皆川博子「疫病船」は、実の母を殺そうとして逮捕された女の動機とは何なのかという謎で引き込んでからの、あの陰鬱なラスト・・。私はこの2編が特に印象に残った。今の時代必読とまでは言わないけど、このご時世を映して編まれた個性的なアンソロだとは思うので、読んでみては如何でしょうか。
2021/10/19
harukawani
「感染症」をテーマにしたミステリアンソロジー。前半4作は海外作品、後半4作は国内作品で、発表年順に並んでいる。古い作品にも現在の状況と重なる面があって面白く読んだ。DP号のことを思い出さずにはいられない作品も。再読はポオ、西村、梓崎。やはり西村「南神威島」梓崎「叫び」は傑作だ。「叫び」はアンソロジーの1篇になると絶望感が増す。皆川「疫病船」もすごい。彼女らを責める言葉は僕にもない。水生「二週間後の未来」も今の状況を見事に二転三転する展開に落とし込んだ佳作。
2021/02/11
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