悪の処世術 (宝島社新書)
悪の処世術 (宝島社新書) / 感想・レビュー
kawa
プーチン、習近平、トランプ、金正恩、ヒトラーら近現代史上の11人の独裁者を俎上に「悪い奴ら」のヤリクチを分析する。「ある人物が突如として求心力を持ち暴走を始めるのではない。組織の中で発生した力を組織内部のさまざまな人間が都合よく利用していくことで徐々にその力が肥大化し、いつのまにか当の本人ですら制御しきれない暴力的な魂としての権力が生まれてしまう」の指摘が重い。戦前の皇国日本の暴走も正に当てはまるし、色んな組織の人事抗争も詰めていくとこの指摘の照準のなかだ。油断するな日本、油断するな世界!!!
2022/07/14
ぴよこ
一言、ホントに悪だわ… あとは、難しかったなぁ。
2021/10/04
kayak-gohan
世界で独裁者と呼ばれる11人の男たちがいかにして人心を掌握し、権力の頂点に上り詰めたかの手口を紹介。それぞれの時代、環境、立場そして性格によって程度の差はあるが共通点として、①自分の信条に対する執着心が強く、妨害や圧力に屈しない精神力の強さ、②不満分子の人心や大衆の弱点を掴むのが巧み、③敵対者は基本的には抹殺、の三つが挙げられる。これらの資質なくしては独裁者たりえないが、かといって彼らは自分一人ですべてを強要して独裁者の地位についたわけでもない。
2022/10/07
onasu
佐藤優さんによる20世紀以降の世界の独裁者11名の説明、というか所感。 白眉なのは、博識な中でも取りわけなロシアのプーチン。現地で実物を目にしたこともあるというのだから、厚みが増すのも当然。冷徹なだけの人物ではないと説くが、国益のためなら無理筋も通す。シリアやリビアの項でも触れられている。 次いでは、冒頭から興味があるとしているアルバニアのエンベル・ホッジャ。ここは全く未知のところだったので、ためになりました。 佐藤優さんの著作にしてはすいすい読めて、且つ現況を捉える材料にもなる好著でした。
2021/07/07
清水勇
著者は英国陸軍語学学校、モスクワ国立大学でロシア語を学び、ソ連崩壊を挟んで7年間在ロシア大使館に勤務しロシアを知り尽くすからこそ、彼の見解は貴重。20世紀の独裁者11人(プーチン、習近平、トランプ、金正恩、アサド、ヒトラー、スターリン、カダフィ他)が如何にして権力を握ったのかを著者の独特の見解で示す。しかし多くの独裁者が狂気で国民を縛り付けたのではなく、単に人間的に純粋だからこそ、忖度する取り巻きの力を使って権力を自分に集中させ独裁者となっている。民主主義の綻びが大きい今、自由と平等の両立の難しさを痛感。
2021/10/23
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