怪物 (宝島社文庫)
怪物 (宝島社文庫) / 感想・レビュー
Kazuko Ohta
小説の映画化ではなくて映画の小説化だから、そのまんまの話なのは当たり前。映画を観て腑に落ちなかったシーンをするりと解説してくれているかのようです。是枝監督作品はなんとなく鼻について、今まで世間で評価されるほどには好きになれなかったけれど、本作はすごく好きでした。予告編を観て子どもを想う母親vsイカれた教師を想像していた自分の浅はかさを思い知らされました。少しだけ気になっていたシーンの所以がわかってスッキリ。だけど不思議なことに、スッキリすると余韻も薄れる。映画を観てから本作も読むことをお勧めします。
2023/06/13
菅原孝標女@ナイスありがとうございます
映画を観ていてもたってもいられなくてノベライズを読みました。母親視点を見ている時は母親に同情して苦しくなって、先生視点を見ると先生が可哀想になって、子どもの視点を見ると全部が繋がって、誰がどうしたら良かったんだろうって苦しくなってしまった。麦野くんも星川くんも間違ってない。2人が過ごした時間は本物だし、大切に想ったままでいてほしい。映像だと特にトロンボーンとホルンのシーンが好きです。あれは怪物の雄叫びなのかな。誰かを突き動かす、そんな悲鳴。
2023/07/06
アキ
カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した作品。母親から、担任の先生から、そして小学生の麦野湊からの視点で物語はすすむ。脚本家の著者は「自分が被害者であることには敏感だが、自分が加害者だと気づくのは難しい」と自らの体験から気づき、この物語を構想した。この映画はクィア・パルム賞も受賞している。審査員長のジョン・キャメロン・ミッチェル監督が「人の命を救う映画になっている」と評した。「お前の脳は豚の脳が入っている」との言葉も本を読んで理解できた。映画の後の原作(脚本)読みもいいですね。映画では坂本龍一の音楽が沁みます。
2023/06/08
納間田 圭
さー誰が本当の怪物なのか⁉︎。誰の頭が豚の脳なのか⁉︎。残された片方だけの…スニーカー。絵の具まみれの…服の意味。あの子の部屋にあった…100円ライター。隠し事だらけの…こと無かれ主義の大人達。何も知らないからこそ手加減なしの…生徒達。人の心底に眠る…残酷さ。全くやる気のない…定年間近の校長。キャバクラに入り浸る…教師。我が子が一番…モンスターペアレント。イジメられない為にイジメる側に回る…あの子。見て見ぬふりを貫く仲良しだったはずの…あの子。とうとう担任教師も…一緒にイジメに参入。まったく救われない感じ
2023/06/14
ケンイチミズバ
人は見えている断片や知識のみで安易に意見を述べる。感情的になればなるほど自分は正しい、だから相手は正しくないと、理性を無くした感情の怪物になってしまう。母親から見ればこの教師は今この瞬間だけ切り取れば確かにモンスターに見えた。この担任から見れば自分を追い詰め追い込んだのは事なかれの学校や事実誤認の親たち、やる気のない校長で、生徒も周囲も全てがモンスターに見えた。ただ、湊の心と体に起きたことは、それらとは別のもので、子供が思い悩み口にできないことで起きた不幸だったが、それも含めて親にも教師にも見えなかった。
2023/05/29
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