青空
青空 / 感想・レビュー
袖崎いたる
青空を見上げる歩行、足元に出会う土地。紀行文…よりももっと個人的で、日記のような風情で綴られる文が詩になる…のは、なぜ。目を引くのは本文の原稿用紙「性」だろうか。そのマス目を一歩一歩と数えるようにして進んでいく足取りは、じっさいの足取りをたどり直しているのでは、ない。たどっている、いや掻き分け入らんとするのは「記憶の茂み」。見上げた青空(の季節感?)によって抱握されているような詩人である前に一個の人間に宝蔵された記憶だろう。いい声で歌おうとはしていない。素朴な声で発音しようと努めている。その素朴さが尊い。
2021/06/08
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