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少年アリス

少年アリス

少年アリス

作家
長野まゆみ
出版社
河出書房新社
発売日
1989-01-01
ISBN
9784309005454
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少年アリス / 感想・レビュー

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NAO

再読。長野まゆみのデビュー作。噴水池の端を飛び交う蛍星。捕まえた蛍星を入れた烏瓜の提灯。石膏の卵。群青天鶯絨色の天幕に貼りつける星々。擬古的な漢字の多用によって作り上げられたノスタルジックで幻想的な世界は、作者が強く影響を受けた宮沢賢治の世界を彷彿とさせる。絵画的で、繊細で、文章に色気があって艶っぽく、人間界を超越した妖しげな雰囲気は、泉鏡花に通じるところもあるか。

2015/12/18

るんるん

夜空や闇夜にさえ素朴な彩りを感じる。夏の終わりから秋にかけてせっせと星空の天幕を取り替える鳥たちのお仕事。空を見上げたとき物語を描けばアリスが遭遇した不思議な景色と出会えるかもしれない。文章の漢字にレトロ感があって文字を楽しく観賞。たとえば、翠緑色ののみもの曹達水など。夏の日の郷愁の趣をそえている。アリスと蜜蜂の心のひだも澄みきっている。他者に映る自分を意識して内省を知る少年たち。彼らのゆらめきが静かな情景のなかにみえてくる。冒険の余韻を残す帰り道も好き。改造版のほうもいつか読んでみたいな。

2016/01/21

紅香@とにかく積読減らします💦

長野まゆみさんのデビュー作。烏瓜の提灯。螢星。。夜道、いつもと違う月が出ていると銀河鉄道のあの夜に通じているのではないかと期待と不安で胸がきゅっとなるあの感じ。月の溶けた曹達水を飲み干し、空間を捻らせ微炭酸の世界へ。無重力な浮遊感と美しさ、静けさと素朴なレトロ。デビュー作からして確固たる世界観。『蜜蜂は夏にしか曹達水を飲まないことにしていたがアリスも同類だった。それが正しい曹達水の飲み方というものだ』ただ甘いだけじゃない。気泡が弾けて日常の澱を洗い流す効力を持つ。銀河鉄道のあの夜を感じたい方におすすめ☆

2015/07/19

もも缶

引き込まれて一気に読んでしまいました。透明感があり、雰囲気がある綺麗な文章。すごく幻想的でした。物語を通してアリスと蜜蜂が精神的に成長していく様子が良かったです。次、改造版がどのようになっているのか楽しみにしつつ読もうと思います♡

2012/10/08

伊瀬有佐

【図書館借本】忘れ物をとりに夜の学校に忍び込むと、そこでは生まれそこなった鳥が授業を受けていて――と言う話。童話なのか、そうでないのか。垂れ幕に星を縫い付けるところが好き。

2011/10/02

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