村上春樹をめぐる冒険 対話篇
村上春樹をめぐる冒険 対話篇 / 感想・レビュー
ころこ
初期から有名になる位までの村上春樹を論じた鼎談。村上の小説は主張やテーマを直接えがかない、というのは誰しも感じるところだ。では村上が描こうとしたものは何だったのか。全共闘世代の3人と同世代の村上では読み解く文脈があることが分かる。当時はこの外側に柄谷や蓮實など村上を認めない批評家が多くいた。竹田は社会の、笠井は個人の内的な、加藤は反社会的な感情に立脚した格率をそれぞれ村上の優れた才能の立脚点として見出しているが、3人の立場の違いは議論を成立させるためのもので、同世代の認識の一致を確認しているようなものだ。
2024/10/29
Arowana
いわゆる全共闘時代を体験していない自分にとって、このようなテクスト解釈が主流(?)であったということは新鮮な発見だった。この本の初版が91年…。国、世代、個人…読者を通して人間の内的世界を無数に映し出す「ハルキ」という謎の存在。
2013/05/11
なつのおすすめあにめ
『ノルウェイの森』が異例の大ヒットをしてしまった村上春樹。結果その反動なのか、国内の評論家は村上春樹をバッシング。その急先鋒が、蓮實重彦と柄谷行人で、加藤典洋と竹田青嗣と笠井潔の三名が村上春樹を擁護する、……とみせかけてその二名をディスる本!(笑)。河合隼雄、大塚英志、福田和也、内田樹、東浩紀(?)など、村上春樹を評価する批評家らも、今ではいるのでどうでもいいが、しかし、1991年には必要だったのかもしれない。オウムも9・11も3・11もコロナ禍もない時代、私は一歳、30歳の自分が読んでいるの不思議~ 笑
2021/01/30
三県・境三
村上春樹というと高校まででそれまでに出ていた文庫のものはだいたい読んでいたか。よくも悪くも現在の日本で最も売れる作家の一人なので、著名な批評家や研究者の村上春樹についての文章はとても多く大学に入ってからはそちらばかりを読んでいた。なので好き嫌いに関わらずどちらも読めば勉強にはなるか。この本は三人とも著名な批評家達による鼎談集。デビューからダンスダンスダンス辺りまでを扱う。
2013/04/20
v&b
『ダンス・ダンス・ダンス』までの村春樹の長編についての鼎談。非常に深い。容易に噛み砕けないところもあったが、よい本だと思う。
2009/01/15
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