抱かれる
抱かれる / 感想・レビュー
のれん
90年代の青春小説。 未来に展望がなく、さりとて絶望を感じない。家族に居心地の悪さを感じ、自分の立場にきまりの悪さを覚える。表題作以外も「時間」「万国旗」「ガラスの魚」など気に入った短編が多かった。 主人公の各親たちにはいい加減さに腹が立ち、名も無い少女たちの苛立ちには愛おしさを感じる。しかしその感情も年を取って腐れば親と同じになってしまうこともまた確か。 渇いている子供たち。現代はこういう子はもっと増えていそうだ。
2020/02/13
C----ya
表題作「抱かれる」の思春期の描きにはなにも古さを感じなく現代でも同一のものだと思うし同年代なら共感する事多いと思う。自分にとっては反抗期の懐かしさでもあった。パーツは援交と覚醒剤で、そう書くと思わず驚くが、進むにつれ少女の内面が掴めていき、あくまでもベースはそこなのでスッと読める。抱かれても満たされずまた探し、いくら探しても満たされない、自分を満たす事はなんなのか。それすらも分からない時期はあると思う。きちんとした居場所が見つかれば、ありのままの自分でいれる。いなきゃ。いさせなきゃ
2016/04/20
むさし猫
不思議な透明感があるというか、捕らえ所のない話というか、稲葉真弓さん的というか…中では『ガラスの魚』がよかった!やるせないエンディングが心に残ります。
2014/09/16
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