レストレス・ドリーム
レストレス・ドリーム / 感想・レビュー
踊る猫
まさに奇書である。『硝子生命論』まではまだ地に足が着いていた印象があったが、ここに来て一気に幻想的な世界の門を開いてしまったと感じられる。もちろん日常に非日常が見え隠れする不思議なヴィジョナーとしての資質は『なにもしてない』から変わってはいないが、ギアがトップに掛かったというか、妄想が全開となっている。そこから辛うじて読み取れるのは(私の限界なのだが)やはり女性差別/蔑視的な世間の無神経な言説に対する違和感と反逆である。だが男性に媚びを売る物分りの良い女性も切り捨てられる。結果として残るのはなんなのだろう
2016/04/11
kenitirokikuti
図書館にて。笙野頼子の初期作品。笙野の第一単行本『なにもしていない』は91年9月に野間文芸新人賞を受ける。集英社すばる92年1月号に本書の収録作のひとつめが載る。すばる誌にみっつめまで続き、93年11月の「二百回忌」芥川賞ノミネートを挟み、よっつめが河出書房の文藝に掲載&単行本(94年2月)▲書影に含まれている帯の惹句にはこうある。〈ワープロ・ゲーム・ファイターが炸裂する今世紀最大の悪夢〉。電卓のゲーム機能みたいな感じでワープロ専用機にもゲーム機能があり、漢字変換機能に強い異化作用があった頃…。
2023/06/11
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