闇のなかの黒い馬 新装版: 夢についての九つの短篇
闇のなかの黒い馬 新装版: 夢についての九つの短篇 / 感想・レビュー
miyu
「死霊」の重苦しさとある種の気持ち悪さ、解らなさ加減が、この短篇集にも息づいている。短篇といっても夢をめぐる連作ゆえ、繋がった一つの作品と言えないこともない。彼は自分を長い間もう救いようのない極度の不眠症だと称するが、だったらこの連作はいったい何だろう。夢とは眠っている間に見るものではないのか?鮮やかな白昼夢か?・・・などと抗う気持ちは抑えるがいい。埴谷の紡ぐ夢に乗っかる方がずっと気持ちがいいのだ。埴谷の読点の打ち方がすごく好みで、なんかブルブル震えて読んだ学生時代を密かに思い出して身悶えした(笑)
2015/08/16
かんやん
まったく通俗的な宇宙観と陳腐極まりない表現の数々……無限の果て、とか一種戦慄に充ちた不思議な眩暈とか、果てもない漆黒の闇とか、根源と究極とか、彼方の混沌と虚無とか……暗黒に「大」を付けて大暗黒だなんて小説家として致命的だと思われる。この作家に永劫やら果てやら無限を禁じたら、何が残るのやら。「未知を志向」しながら「宇宙」の「無限」の「闇」の「果て」に黒馬やら巨大なタコやらウロボロス風の魔物やら既知のものばかり見出してしまうのは、お里が知れる。冗談半分に人を煙に巻く悪しき蒙昧主義である。自分には笑えない。
2020/06/24
jahmatsu
真っ暗な夢の中の話から宇宙まで行ってしまうブッ飛んだ展開を本気で語られております。埴谷ワールド全開。この本読んでた数日ホント寝つき悪いは、夜中に目覚めるは、そんな作品でした。
2018/11/19
Rockwell
夜、誰もが布団の中で体験する何気ない時間を、埴谷雄高が文章にすると、宇宙にまで通ずる美的で繊細な素晴らしい時間になる。
2010/05/14
Automne
存在意義、繰り返し思い描くスピログラフ。 全は一、一は全、深淵に思い思いの世界を描くことで我々は真理に到達するのである。 この世界は私が作り上げたもの。
2018/04/18
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