闇桜,ゆく雲 他 (現代語訳樋口一葉)
闇桜,ゆく雲 他 (現代語訳樋口一葉) / 感想・レビュー
みつき
『闇桜』『うもれ木』『雪の日』『ゆく雲』『うつせみ』の現代語訳集。「今の兄妹のような関係を壊してしまうのが怖い。いっそ悩み苦しみつづけるのならこの身が朽ちてしまえばいい」「才能のある身でなぜ貧しい暮らしをし、これほどまでに世間に埋もれなければならないのか。」やはり作中には彼女の鬱屈した思いが随所にちりばめられ、胸を一突きにされるような痛みを特に感じる作品集。愛するあまり心が壊れた女の、人としての命の灯火がふっと消えてしまうその瞬間に息ができなくなるほどの痛みが伴う。
2013/07/31
マカロニ マカロン
個人の感想です:A-。『闇桜』は樋口一葉の原文をまだ読んでいないのだが、現代語訳を読み進むうちに10代の少女の純愛の行方に胸がキュンキュンしてしまうようなストーリー。『うつせみ』も似たような話だがこちらの方がもう少し年上の女性の強い情念が感じられる。そして、この本の中では何といっても『うもれ木』がストーリー展開のダイナミックさで心惹かれた。訳者の井辻朱美さんが後書きで書かれているようにイタリアオペラ的な「濃い」登場人物が劇画的な場面を展開する。篠原は本当に悪人なのだろうかと考えながら今度原文を再読したい。
2016/03/06
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