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ブエノスアイレス午前零時

ブエノスアイレス午前零時

ブエノスアイレス午前零時

作家
藤沢周
出版社
河出書房新社
発売日
1998-08-01
ISBN
9784309012339
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ブエノスアイレス午前零時 / 感想・レビュー

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tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

☆5.0 『ブエノスアイレス午前零時』 温泉卵と藤澤樟脳が濃い青色の闇の中で 長谷川式スケール片手にタンゴのステップを踏む物語。 ☆5.0『屋上』だらだらと澱んだ空気がピンと張り詰める様が 俄然心地よい。 『屋上』と芥川賞受賞作の『ブエノスアイレス午前零時』の2篇を収録。

2021/01/28

NAO

この話には、語られていない話がいくつか隠されている。ミツコが若かりし頃の話。エリート広告マンだったはずのカザマの話。そういったことは全く語られないままに、ただ雪深いホテルのどこかさびれた様子、そこにあふれるナフタリンとポマードの匂いだけが描かれている。閉塞感と諦観に潰されそうな狭い世界で盲目の老嬢と孤独な中年男性がタンゴを踊るとき、そこに彼が見たものは何だったのだろうか。119回芥川賞受賞作品。

2019/08/13

朗読者

元娼婦で、盲目で、さらに認知症まで始まってしまった老女を、老若男女すべての読者を虜にする魅力的な女性として描くことができるか。藤沢さんはそんな挑戦をしたのかもしれません。官能的なダンスシーンは、真っ先に映画「セント・オブ・ウーマン」を思い出しました。アル・パチーノ演じる盲目の退役軍人老紳士が、ガブリエル・アンウォー演じるホールの視線を独占し時間を止めてしまうような美を放つ女性をダンスに誘い、情熱的に踊るあの名シーンが文学で再現されたかのようでした。表現力が抜群でした。

2023/12/07

凪織

感覚の表現方法が独特で面白い。テーマとか、何を表現したかったのかわからなくて掴みどころがない。まさに温泉の湯煙のよう。『ブエノスアイレス~』も同じく収録されている『屋上』も、どこか空しいような、寂しいような雰囲気が漂っているような気がした。周囲に溶けこめなくて浮いているような、相容れない何かを抱えて持て余しているような。もしこれが学生の話だったらきっともっと重くて苦しい物語になっていただろうけれど、大人である主人公達はしれっと平気なふりをしている。良くも悪くも平坦な物語という印象の作品。

2015/10/30

シンヤ

藤沢周初読み。芥川賞受なので読んでみたが……。「ブエノスアイレス午前零時」「屋上」の2編。「ブエノスアイレス午前零時」カザマという男がで温泉ボイラー室で作業中に目が見えないサングラスをかけた老女ミツコが一人でふらふら歩いているのが気になり声をかけ出会う。悲愴感ただようこの老婆は耄碌として同じ話を繰り返す。カザマはそんな老婆に少しずつ優しくし、最後はタンゴのステップを一緒に踊る。実は昨晩、タンゴのコンサートに行ってました(笑)老婆と作業員カザマがタンゴを踊るというのが、よいのかなぁ~。良さがいまいちでした。

2018/01/26

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