ふたくちおとこ
ふたくちおとこ / 感想・レビュー
ヴェネツィア
3篇を収録。「ふたくちおとこ」は『ティル・オイレンシュピーゲル』、「ふえふきおとこ」は『ハーメルンの笛吹き男』の翻案。もっとも、翻案というよりも、それぞれの物語の核として使われていて、そこから小説は自由に連想を拡げてゆく。時にはシュルレアリスムの「自動筆記」を思わせるような飛躍を伴って。「かげおとこ」だけは出典が不明。ドイツの古いフォークロアが基になっていそうなのだが。いずれも、言葉それ自体が自立する趣の難解な文体。世界観もまた幽明郷を彷徨うかのよう。なお「人さらいに連れて行かれる」願望は寺山を思わせる。
2014/09/04
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
☆5.0 物語は「言語」によって成立する。 言葉が言葉に呼応し言霊となって創り出される多和田葉子の言語ワールドへようこそ。
2020/12/06
じゅんぷう2000
表紙のデザインが、可愛くて、タイトルもひらがなで、メルヘンちっくだったので、借りて読んでみた。「ふたくちおとこ」、「かげおとこ」、「ふえふきおとこ」の3編。表紙のようなメルヘンさは全然ないけど、変わった作風、言葉が飛んでるような文で、びっくりしました。(ふたくちおとこ)後味が悪かった、(かげおとこ)唯一知ってるハーメルンの笛吹男の話かと、思ったが、この話、知ってるぞ、という気持ちを捨てて読むと楽しめる。(ふえふきおとこ)初読みの多和田葉子さん、すごい独特の世界でした。
2015/04/19
Roy
★★★★☆ ドイツの有名な民話(「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」「ハーメルンの笛吹き」)をベースに、現代とクロスしていく3つの短篇集。多和田葉子特有のインモラルな世界が反映されていて面白い。
2008/10/17
圓子
なかなか際どいことがさらりと書いてあったりして。言葉のしがらみを断ち切って、軽々と遊んでいるようである。ティル・オイレンシュピーゲルってどんな話なんだったかな。
2015/11/24
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