説教師カニバットと百人の危ない美女
説教師カニバットと百人の危ない美女 / 感想・レビュー
tomo*tin
ああ…脳味噌が言葉におかされた。そう、これはまさしく「侵され」たのであり「犯され」たのだと言える。ぐるぐるである。狂気なんだか狂喜なんだか凶器なんだか判別不可能な言葉たちが踊って暴れて戦って、いや、もういいです、ご勘弁ください、と呟きつつも大笑い、したかと思ったら恐怖に慄いたり、かと思えばグロさに目を覆い、まるで暴風域に裸で飛び出しちゃって看板飛んできて顔面強打で鼻血!みたいな感じになって、ああ、もう本当に凄いです笙野さん、半端ないです笙野さん、大好きです。
2009/07/08
ごはん
言語中枢がどうにかなってしまうのではないかと思うほどの破壊力。笙野頼子ではない「八百木千本」が、冒頭から想像しうる限りの自虐的な言葉を並べる。次から次へと溢れてくる言葉は止め処ない。タイトルの「カニバットって何!?」から始まり、何がどうなっているのかよくわからないまま、気がつけば笙野頼子と八百木千本の罠にずるずるとはまっていた。はまっていくのが楽しいので、溺れるのを覚悟で言葉の渦の中にダイヴする。最後にはちゃんと現実世界に戻ってこれたことに安堵するわけだけれど、またダイヴする準備だけはしておきます。
2009/07/15
いちろく
紹介していただいた本。自らの醜貌を自覚した上で穏やかに暮らしているはずの八百木先生と、説教師を崇拝する結婚に憧れつつも程遠くなってしまった美女という名のゾンビ達が繰り広げる、純文学。猟奇的で狂気な宴。寧ろココまで書かれると清々しい。そして、不思議と読みやすい。表現力の幅広さ、語彙の豊富さに驚く。たとえそれが眉をひそめるようなコトバであったとしても。私ならこの本を人には薦めない。いや薦められない。登録するかも正直迷った1冊。紹介感謝!
2016/01/17
たま
醜貌を自認し一人で穏やかに暮らす作家に、結婚第一で男尊女卑全開の女ゾンビたちが次々と襲いかかるお話。本作が書かれたのは90年代後半だけど、現代も「モテ」や「男ウケ」などの言葉が溢れ、それらに食傷気味である私にとっては恐ろしくも痛快な小説で面白かったです。時代は変わっても女性が背負う他からの先入観や偏見、理想像はなかなかなくならないし、それを受け入れた方が生きやすいこともあると思うので、私は八百木寄りではあれど、女ゾンビ成分ゼロとも言えないのが現実だと思います。
2014/05/29
那由多
ブスの為のブスによるブスのナンセンス純文学。オススメしてくれたのも女性でした(美人さんです)。よくわかんないままハチャメチャさに笑って、なんだかんだで価値観ひっくり返されそうな勢いだった。
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