きみよわすれないで
きみよわすれないで / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
存在しているだけで狂っていくのが分かるのに周りはその歪みや狂いを既定の型に嵌めこもうとする窮屈さ、それ故に言えない心の澱。私の過去とあたしの今が徐々に線をなぞるかのように合わさろうとしている様はギリギリまで引っ張られた糸のような緊張感があり、その結末はそれ故に千切れ、弛緩していた名残があるばかり。・・・・周囲が分かってくれなくてもよかったんだ、ただ自分達が分かっていればそれでよかったんだ。
2013/06/28
ちょん
読みたかった本。文中の語りは誰なんだろ? でも叔父さんとおじさん、なんだか切なかった。調律師の話と聞いて羊を思い出したけど、それよりもなんかもっと薄暗い話。薄暗い中に希望はあったのかなぁ。切ない。
2020/04/21
砂糖海
表紙が内容とすごくあってると思います。静かな静寂と微かな違和感が行き着く果ては何だったのだろう。
2009/04/30
スケキヨ
はらはらと落葉する感じで読み進めました。誰にもわかってくれない、わかってもらおうとも思わない、内なる闇を自然に溶かしあえた二人。『空気感だけで得られる心の充足』。こんな小説もたまには良い。
2010/05/24
みつ@---暗転。
***** これは、恋の物語だったのかもしれない。淡いレースのカーテンから、柔らかい陽射しが降りそそいでいる。ピアノと、音叉の音。レコードが奏でるサティ。独特の香りの煙草と紅茶。茶色い瞳とサングラス、うつくしい手。盲目の調律師と少女、総一郎と叔父。そしてーーーゆらりと揺れる、身体。どこまでもふたりで完結していた、狭い狭い世界。鳥籠の中の鳥は、自由など望んではいなかったのだろう。自由は不自由で、いやななにかに束縛されたものだから。円環のようにぐるぐると繰り返される、優しく穏やかなカタストロフ。好きだなあ。
2013/08/19
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