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霧のむこうに住みたい

霧のむこうに住みたい

霧のむこうに住みたい

作家
須賀敦子
出版社
河出書房新社
発売日
2010-08-03
ISBN
9784309015293
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霧のむこうに住みたい / 感想・レビュー

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はたっぴ

須賀さん4冊目。一日の終わりに自分へのご褒美に読みたくなる作品だった。須賀さんに朗読してもらっているような気分で、ゆっくりゆっくり味わう。29編のエッセイは短いものが多く、とても読みやすい。そしてどの登場人物にも親しみを感じてしまう。読んでいるうちに、15年前に両親を連れて旅したローマ、ミラノ、ヴェネツィア、フィレンツェ、アッシジの風景が目の前に甦り、住んだわけでもないのに郷愁にかられてしまった。過去の遺物をそのまま残して、歴史を重ねていく国を、生活の場として選んだ須賀さんの魂に深く感化されつつ読了。

2016/05/10

かりさ

遠い異国の街並み、石畳、風景を流れる川や丘。須賀さんのイタリアでの生活を記憶を織り交ぜて書かれた29編のエッセイ。端正な文章がとても心地よく、何度も何度も行きつ戻りつしながら浸っていました。解説の江國香織さんの須賀さんの御本を読むと「雨が降っている気分になる」にとても共感しました。そしてそれは雨の日の読書がとても特別なこと、それが須賀さんの本であることに、ことさらの特別感を味わう読書の時間なのです。豊かでふくふくと気持ちが温かく膨らみ包まれるような安堵感。須賀さんの文章にはいつもそんな感覚を思います。

2015/09/17

刊行の2003年当時、単行本に未収録だったエッセイを中心に纏められた一冊です。解説が江國香織さんという、わたしにとっては非常に嬉しいおまけつき。今までによんだ『ユルスナールの靴』『トリエステの坂道』『ヴェネツィアの宿』『コルシア書店の仲間たち』が、濃厚な味のバニラアイスだとしたら、本作はさらっとした甘さをもつ、果物のシャーベットのよう。凛としていて静謐な雰囲気の漂う文体は、何気ないお話のなかにもあらわれており、よんでいて心の波が平らかになってゆくのを感じました。

2015/09/04

Eee

ひとつひとつがあっさりとしたエッセイでした。イタリアに行ったことはないですが、その場所に立ったような気持ちで読み進めました。あとがきの江國さんが記されたように、どこか雨が降っている気がしてなりませんでした。実際に降っているわけではないですが、しっとりとしてほの暗い感じ。綺麗な日本語と素敵な情景に魅了されました。、

2016/07/04

ふゆ

没後発売されたエッセイ集。40歳くらいから亡くなるまでを1冊に纏める力技ですが、違和感がないのは彼女の中の芯のようなものがブレてないから。イタリアというと明るく開放的なイメージですが、北イタリアの霧にけぶる静かな様子が何度でも新鮮です。アスパラガスの印象的なこと。解説の江國香織が言うように私たちは希少な少女に出会います。

2018/09/29

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