溺れる市民
溺れる市民 / 感想・レビュー
青豆
東京郊外の眠りが丘という架空のベッドタウンを舞台に、一時の快楽に身を委ね堅実なはずの人生を踏み外していく人々を描いた作品。快楽に溺れるといっても身の破滅という程でなく、自らの欲望に少しだけ素直に振る舞う事で、退屈な毎日、平凡な日常を離れ少しだけ非日常な世界を味わったという感じ。新聞を賑わす様な事件は起きない穏やかな郊外の街でも、スキャンダラスな事は日々起きている。エロティックな内容と自虐的なネタを盛り込むあたりが島田雅彦らしい。
2014/10/12
croto
「with you」の後に読了したからか、やけに「オナニスト一輝の詩」が印象に残る、まるで「with you」の中で唯一の男性の短編のように。失礼。「with you」でも男性の性感帯で同じ様な描写がありましたが、そのへんどうなの?!と知りたくなりますた(*´Д`)それはそうと(笑)眠りが丘の住民たちの多種多様なシガラミ、思惑、日常の中の驚愕、どれも現実スレスレで、紙一重で起こり得そう。感受性満開の住民たちなのか。
2014/06/27
モリー・ブラウン
再読。ジャケ買いした1冊。13の短編が初級中級上級と三部に分かれて構成されているが、それと共に登場人物の年齢が上がり、物語の出来も良くなる。上級編「私が岩石だった頃」が好みの歳になっちった…。
2013/02/02
メルコ
島田雅彦の近年の作品を初めて読む。市井の人たちがふと垣間見せる欲望、闇、裏の顔を様々な手法であざやかに描き出す。久しぶりにおもしろい現代文学を読んだ。
2013/08/15
いのふみ
架空の街「眠りヶ丘」を舞台に、おのおのの快楽に耽る住人たち。五年振りの再読だった。ライトでポップな文体に、これぐらい軽くてもいいんだと思ったのを憶えている。それでいて内容はアブナくユーモラスで、感染力・中毒性があった。島田文学との出会いは本作やデビュー作『やさしいサヨクのための嬉遊曲』から始まったのだった。
2011/12/15
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