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飢餓海峡(改訂決定版) 下

飢餓海峡(改訂決定版) 下

飢餓海峡(改訂決定版) 下

作家
水上勉
出版社
河出書房新社
発売日
2005-01-26
ISBN
9784309016931
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飢餓海峡(改訂決定版) 下 / 感想・レビュー

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B-Beat

◎上下巻計約700Pの大作。上巻読了後の感想投稿も忘れて下巻を一気に読み切ったのはこの読メ登録後初めてのことではなかったろうか。戦後間もない食料も満足になかった時代。このような犯罪が起こった社会的背景を現代人から見れば悲惨としかいいようのない境遇にありながらも真摯に生きようとする女性を通して丁寧に描く。そしてその女性の行動を発端として追いつめる者と追いつめられる者との攻防が日本列島を半ば縦断して繰り広げられ、読む者が勝負あったかと思った瞬間にそこで暴露されるというか顕在化する真実の叫び。読めてよかった。

2013/10/16

だい

薄暗くて寂しく几帳面で硬い文体は、清張を彷彿とさせて、懐かしく嬉しかった。推理小説ではあるが、優しく語りかけているようで心が温かくなる。今は罪を犯した者も真実を追い求めた者も、はかない時の中へ消えて行く。罪も涙もすべてをのみ込んだ海峡の暗く荒れた海がうかんでくるようだ。

2016/04/26

akiko

今なら一瞬で辿り着ける真実に、自分の手足を使って気の遠くなる時間をかけてしか辿り着けない。現代を生きている私にはまどろこくて仕方ない。でも、だからこその重厚な内容になっている。想像した通り樽見は根っからの悪人ではなかった。彼だけではなく他の登場人物達にもある貧しさが悲しい。あとがきも含めて再読してよかった。

2023/01/01

カープ坊や

主役二人の再会から始まった下巻。 やけにあっさりと謎が解き明かされていく展開は 上巻に比べると少し残念なれど 上下巻通じての戦後の混乱期の人物描写には感服

2014/06/11

ゆき

★★★★☆:読み始めてすぐに、思いもよらなかった驚愕の展開があり、上巻で抱いていた「何かのっぴきならない事情が」とか「きっと誤解が」という淡い期待が見事に打ち砕かれた。その後は身勝手な犯人に対する憎しみと、地道な捜査を続ける刑事たちの努力が次々と実を結んでいく過程と、で読む手が止まらなかった。ラストシーンの灰色に暮れなずむ海は、時代に翻弄され不幸だった人たちが飲み込まれていくようで、物悲しくも切ない余韻が残った。

2014/11/01

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