筑波根物語
筑波根物語 / 感想・レビュー
bouhito
筑波山麓の大宝(現:下妻市)に生まれた横瀬夜雨。幼くしてくる病に冒された不具の詩人にして、その一生を恋と失恋に費やした男。「一千万人に一人の女性がいて、君がもし幸せになってゆけるなら、友だちとしてもこの上ない喜びである」という友人の言葉が頼もしくも、恨めしい。筑波嶺ではなく、筑波根、という漢字のあてかたが良い。大伯母もそうだったが、寝たきりになった人間というのは、横臥している床に根が生って動けなくなるような、重苦しさがある。
2015/05/15
ひろし
図書館本。帯にあるとおり、水上文学の中心テーマが凝縮されている。「神も仏も滅びしか この世は鬼の住処にて 狂い奔るを笑わんと 我という人を作りたりけん」
2023/05/05
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