文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。
文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。 / 感想・レビュー
harass
「人はなぜ物語を求めるのか」で感心し、同著者の本をまとめて借りこれを読む。「少女小説」の名作の紹介本。著者は、ガーリッシュ文藝(志は高く心は狭い文化系小娘のためのジャンル)と宣言する。簡単な要約と読みどころを解説。著者は控えめ少しだけしか語らないのだが切れ味するどい。尾崎翠や倉橋由美子などはさすがに読んでいるが戦前のものなどはさすがに知らなかった。男性作家が書いたものも紹介されていて、三島「夏子の冒険」や武田泰淳「貴族の階段」など読みたいものが増えてしまった。森茉莉の「甘い蜜の部屋」はぜひ読みたい。良書。
2017/05/15
なる
「ガール」ではなく「ガーリッシュ」であることが本書の重要な点だという。性別を問わず、いろいろな作家の女の子像を描いた作品を紹介している。太宰治や武田泰淳といった男性作家から、尾崎翠、森茉莉といった女性作家、現代なら多和田葉子や綾辻行人に至るまでを採り上げていて、本に興味を持つきっかけになる。知らない作家もたくさんいたので新たな発掘という面でも良いかもしれない。正直ちょっと書評が上から目線だったり、世の中の風潮に対して皮肉めいた文体がいくつかあったのは気になったけれど。あくまで紹介本としてはいいかなと。
2021/01/09
はな
図書館本。ガーリッシュを題材とした本の紹介がしてあります。69冊の本の紹介があるのに既読本名無しに軽く驚く。 長野まゆみさんや嶽本野ばらさんの本は読みたいなぁと思いました。もっと本を読もう。
2015/07/15
kana
「ガーリッシュ」をテーマに日本の文学を俯瞰し、カテゴライズした斬新な切り口のレビュー集。思えば、文学史といえば、男性を主人公にした私小説がクローズアップされがちで、女子はおいてけぼりな印象だったけれど、密やかながら多くの少女たちを魅了してきたガーリッシュ文学にスポットをあてたという意味で、とても意義深い1冊だと思う。海外版文藝ガーリッシュも読みましたが、よりマニアックで作者の熱のこもったレビュー集で読みたい本がまたまたざっくりと増えてしまいました。同著者の「読まずぎらい」も読まなくては。。
2011/10/23
りりす
「素敵な本に選ばれたくて」「志は高く、心は狭く」嶽本野ばらの『それいぬ』を初めて読んだ時、私は自分の教科書が見つかった気持ちでした。この本は教科書というより便覧ですが、上記のふたつの言葉は、『それいぬ』から私が受けた啓示の再来でした。『それいぬ』読了から数年…。この数年に、弛み、堕し、神経症になって路頭に迷っていた私の精神を、ガーリッシュに向かって歩いて行けるよう、この本は少し道を照らしてくれました(何故“少し”しか照らしてくれないのか?真のガーリッシュとは手取り足取り導いてくれるほど甘く無いのです)。
2015/01/12
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