小高へ 父 島尾敏雄への旅
小高へ 父 島尾敏雄への旅 / 感想・レビュー
二戸・カルピンチョ
こういう狡い文章は、好きとか嫌いとか単純に判断できない。「おとうさんのことはよく知らない」らしいが、それは社会的評価についてで、著者が見てきたおとうさんのことは温度と湿度と共に記憶されている。おかしな夫婦とおかしな子供達、不幸な子供達。型にはまらない事はとても大変そうで、そこに自由の喜びを感じられる人なんてそういないはずなんだ。
2022/07/01
fuchsia
島尾伸三の文章には常に不穏な暴力が潜んでおりそれは彼の本質が虐げられ、怨みにみちた子供のままで成長を止めているからなのだろう。彼にとって妻子は天使の如き存在なのだろうが、それを持ってしても両親によってもたらされた傷、なかんづく妹の死は癒されることが無い。なので、島尾敏雄はやっぱり好きになれません。
2010/09/13
かりんとー
他の方も書いている通り、文章が優しく子どものようである分、心の傷の深さがまざまざと見える。
2017/09/01
Gaooo
「死の棘」で気になってしょうがなかった子供たち。兄と妹。兄の書く家族はやはり緊張感を伴うものであり、母の強権をうかがわせるものだった。語られる記憶の中に語れない事の凄まじさがにじむ
2019/09/27
硯浦由咲
この方の文章を読むのは初めてだから他の著作との違いは分からないけど、こういう文章でしか書けなかったのかなぁ、と感じた。妹のマヤさんの死については(トシオとミホについても)、娘さんのしまおまほさんの本でも読んでいたけど、しんどかった。マヤさんをミホさんとの生活から折角助け出したのにまた戻らされてしまい、そしてその生活の中死んでしまったところは、まほさんの本でも暗い影を落としていたから。最後の一文は泣けた。
2013/08/15
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