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改造版 少年アリス

改造版 少年アリス

改造版 少年アリス

作家
長野まゆみ
出版社
河出書房新社
発売日
2008-11-20
ISBN
9784309018843
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改造版 少年アリス / 感想・レビュー

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Bugsy Malone

「銀河鉄道の夜」のような印象を受けました。ちょっと怖いようなドキドキするような不思議な物語。思い浮かぶ夜の教室や理科室、校庭や中庭の噴水、それらの情景は美しくて懐かしい。暗い部屋の中、ライトスタンドのみで読んでいたので、まるで夜の学校に登場人物と一緒に迷い込んでしまったかの様でした。少年アリスと友達の蜜蜂や蜜蜂とそのお兄さん、飼い犬の耳丸の関係も何だかとても優しくて暖かくて。夏の終わりの一夜の出来事、とても良い作品でした。

2016/10/31

優希

現実世界にひっそりとあるような別世界に迷い込んだ感覚になります。おとぎ話のような幻想的な世界が一面に広がり、独特の言葉遣いに懐かしさを感じました。細工した銀の卵を持って夜の学校に忍び込んでからの不思議な物語は現実なのか夢なのかが曖昧さと、丁寧に造られたモチーフが素敵だと思います。最後の銀色の実を誰に食べさせたのかわからないのが気になりますが、だからこそこの物語を独特の雰囲気にしているのではないでしょうか。比喩が綺麗なのが印象に残ります。想像力を働かせながら読むのが楽しいです。

2014/09/25

はる

耽美な世界。少年アリスは夜の学校で、不思議な世界へと迷い込む…。レトロな文章、装丁の色使いも古風。宮沢賢治の影響を強く感じます。アリスと親友の蜜蜂の関係はジョバンニとカムパネルラを彷彿とさせますね。夢の中のような情景がとても美しい。この改造版はオリジナル版とは色々違うみたい。特にラストは、真実は?という感じになっていて、読者に判断を委ねる展開になっています。長野まゆみさんは何となく苦手意識があったけれど、この作品は好き。

2021/06/12

ぶんこ

美しい文章のところどころに花や木々、鳥や自然現象などの言葉が散りばめられていて、読んでいると、とても美しいのですが戸惑う。巻末に辞典がついていました!忘れ物をとりに夜の学校に忍びこんだアリスと蜜蜂と犬の耳丸。真夜中の理科室でおこなわれていた授業を見つけてしまったことで、不思議な世界へ。そこには産まれることが出来なかった鳥たちがいて、夜空の修理をしていました。アリスの恐怖と、蜜蜂と耳丸の勇敢さに一緒になってハラハラドキドキ。長野さんのデビュー本(改造版ではない方)というのに驚きました。素晴らしい才能。

2021/06/22

mii22.

【娘の本棚】装丁が素敵な一冊。夜の学校にこっそり忍び込むという少年にとって好奇心と冒険心をそそる設定をバックに、幻想の世界に迷いこみ不思議な体験をする物語で、冒険と少年の心の成長を描いた童話のような作品。小道具となる「鳥の本」や「カラスウリ、ノウゼンカズラ、」といった自然の植物、また架空の夜行性小生物「ほたる星」などを効果的にちりばめた情景描写も「寝台、敷布、ソーダ水」と言った言葉選びも抜群のセンスよさで、長野さん独自の透明感や心地よい冷たさを感じる世界が描かれていて素晴らしい。

2017/09/08

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