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小川洋子の偏愛短篇箱

小川洋子の偏愛短篇箱

小川洋子の偏愛短篇箱

作家
小川洋子
出版社
河出書房新社
発売日
2009-03-11
ISBN
9784309019161
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小川洋子の偏愛短篇箱 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

小学生の頃に、みんなが切手やシールをコレクションしていた時に、小川洋子さんは密かに爪とかさぶたを蒐集していたそうだ。相当に奇妙なコレクションだと言わねばならないだろう。流石と言えば流石。あるいは、変態的と言えば変態的だ。そんな作家の偏愛アンソロジー。全部で16の短篇を収録する。小川洋子さん自身の書く小説はこよなく好きなのだが、こうして選ばれた作品はどうも今一つピンとこない。他では選ばれないものを、あえて選んでいるからだろうか。集中では、初めて読む内田百閒と金井美恵子が拾いものであったかと思う。

2012/12/28

風眠

大好きな小川洋子さんがセレクトした短篇なら、きっと私も好きだろうと思って手に取った。既読のもの未読のもの、思った通り、私も好きだった。ひとつひとつの短篇の後の小川さんの感想がまた素敵で、私と違う感想だったり、同じような感想もあったり、そういうことも何だか嬉しい本だった。『偏愛短篇箱』というネーミングも、この本にぴったりだと思う。金井恵美子『兎』、森茉莉『二人の天使』、牧野信一『風媒結婚』が特に好き。グロテスクで歪だけれど、少し切なくて哀しくて、どこか凛とした美しい物語。尾崎翠はほかの作品も読んでみたい。

2014/04/26

ちょろこ

小川さんの宝箱をそっと見せていただいたような一冊。見せていただきます、と手を合わせてから本を開き、最後はどうもありがとうございました、とお辞儀して本を閉じたような、そんな読後感。しかもその宝箱は一度にのぞき込むのはかなり危険。なぜなら小川さんの紡ぎだす世界のもととなるであろう、あまりにも偏りすぎた異世界に溺れてしまいそうだったから。異世界作品と小川さんの解説、エッセイのセットは毎日一編ずつがちょうど良かった。数ある宝物の中でもやっぱり乱歩の「押絵と旅する男」が断トツ好みだった。

2016/03/02

キジネコ

偏った愛の標本箱?!怖いもの見たさで蓋を開けると、期待を裏切らない16の短編。当人は必死に違いない「件」の不思議な重量。凄惨の極みなのに美しい「兎」。研ぎ澄まされた刃物の様な言葉「ふたりの天使」。一点の曇りもなく築き上げた物語世界「みのむし」の悲しさ。妖にして艶、繋ぎ留める枷の両端に何を見るのか?を改めて問う「雪の降る前に」の淫靡。病み疲れた妻に男が言います「実に不思議な獣だね・・いつの場合に於いても、どこか仄かに残忍性を湛えている」この言葉を作家への献辞としよう。ピンで止められた私、視界を塞ぐ箱の蓋。

2014/03/12

かさお

他人にどう思われても構わない。好きは好きなの。ガラクタにしか見えなくたって、私の大切な宝物。そっと小箱に入れよう。小川洋子がそんな気持ちで選んだ短編16編。彼女が選んだというだけで興味津々。1番の収穫は田辺聖子。こんなにねっとりとした捉えどころのない作品を書く人だったのか。他のも読んでみたい。次は金井美恵子の「兎」恐ろしい、三浦哲郎の「みのむし」哀しい、そしてゾワゾワ1位は吉田知子の「お供え」今で言うと今村夏子風。半分以上知らない作家さんで新鮮だった。小川さんの解説が全てに付いてるのがこれ又良かった。

2024/03/16

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