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「文学」の精神分析

「文学」の精神分析

「文学」の精神分析

作家
斎藤環
出版社
河出書房新社
発売日
2009-05-14
ISBN
9784309019222
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「文学」の精神分析 / 感想・レビュー

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ころこ

作者の無意識にこそ作品の良さが潜んでいて、批評はそこをあたかも初めから目の前にあったかのように指摘していく。書き手にとって、また読み手にとって、精神分析は批評のためにあるような方法だと錯覚してしまいます。短い文章のサブタイトルに作者名が書かれていて、作者を批評するのに精神分析の言葉が躊躇なく使われています。作者の無意識を暴き立てるベタな方法では作者から直接、間接の批判や、来ないまでも嫌われるでしょうから、どうやったら作者でなく登場人物のキャラクター性や文体に批評対象を移していくかがこの方法の要でしょう。

2022/05/20

たりらりらん

割と新しめの作品を扱っているものが多い印象。著者の専門から文学への批評・解説などを集めた一冊。扱う作品によって、解説の文体にも影響があるようで、それぞれおもしろく読んだ。なかなか位置づけが難しい本であるような気はするけれど、独特の切り口は興味深い。三島について、言葉を重ねれば重ねるほど、たどり着けない世界が露呈してしまう、というのはなんだか切ない。

2010/12/23

ヘンリー

村上龍と京極夏彦。2人とも自作に対する著者の評を読んだようだが、その後とった態度に格段の隔たりがあった。それを曝露しつつ、2人の章をちゃっかり並べているところに、著者の批評家としてのイジワルさがうかがえる。

2009/10/07

イキュア

複数の作品を通して作家自体を語る批評集。作品を通して、作家自体の根底に通じるものは何かを探ることは、作者と読者の時間や空間を超えた対話なのだろう。一つの作品だけで作者のことをわかったつもりになるのは早計であり、今後も本との向き合い方で意識しておくべきことかと思う。

2022/12/08

ハッカうどん

近代文学から京極夏彦、清流院流水といった新文芸作家まで、著者が不連続的に書いてきた評論が幅広いタイムスケールで収められている。精神分析はあくまで事後的なものでありそれによって予言しようとするならば破綻を起こさざるを得ないといった話とか、エディプスコンプレックスを扱ういくつかの分析的評論だとか、はえーなるほどなあと思うところが結構あった。評論本というものをあまり読まないので、新鮮味があって面白かった。書き手の「私」は読み手の「私」と必然的に二重化する。それによって引き起こされる事象平面の三体問題が興味深い

2024/07/25

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