懐かしき友への手紙
懐かしき友への手紙 / 感想・レビュー
でんちゅう
本のリサイクル市で題名が気に入り頂いた本です。うちの母と同年齢、戦争前に生まれて育っておられるので、現代流行りの作家とは視点も文も違う気がする。この本は戦争が題材でなく、体の部分から想起されたエッセイ風に仕上げた連作短編になっている。余分なものを削げて、味わい深い文章が心に沁みる。それぞれの短編が読みやすくて、起承転結がしっかりした短編で、筆者も思い入れのある本だそうです。
2021/05/14
hasegawa noboru
七十年近くを生きてきた「ぼく」の身体各部位の持病(病歴)にまつわる過去が思い起こされ、静かに語られる人生の記憶。からだ(を抱えて)が生きる人間はからだがこわれるとともに死ぬということ。そして暮らしも。兄の死を扱った、書下ろし短篇「胸」が哀切。「みごとに形成されていた幸福な標準家庭が、こうしてこわれていったことにおどろいた。考えるまでもなく人の暮しというものは、こわれかたはいろいろあるけれども、やがてこわれる。」2009年8月河出書房新社刊行本。
2017/03/05
mikamika
耳、指、膝など肉体の部位をタイトルにし、家族や友人についての思い出、生や死についてを語った短編集。 体が弱く繊細な子供だった作者の優しいまなざしが感じられる作品です
2009/10/25
樹。
人体の器官に注目して描かれる短篇小説…というかエッセイ?あたしは唯一眼が悪い位で身体に不自由が無いので、それを有難いと想い直すには充分だった。歳を経て読むとまた印象が違うかも。
2009/11/24
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