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琉璃玉の耳輪

琉璃玉の耳輪

琉璃玉の耳輪

作家
津原泰水
尾崎翠
出版社
河出書房新社
発売日
2010-09-10
ISBN
9784309019949
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琉璃玉の耳輪 / 感想・レビュー

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紅はこべ

私は津原泰水の文体が大好きなので、たっぷり酔わせてもらった。女の一代記もの、名探偵もの、純愛も変態性よくもある恋愛小説、冒険活劇、SF、読者の嗜好によって様々な読み方を可能にする、面白い小説の要素をわんさと詰め込み、それでいてくどいと思わせない、巧みな作品。

2010/11/25

nyanco

はぁ…濃かった。エスプレッソコーヒーをカフェオレボウルにテンコ盛りって感じ。なかなか物語に入り込めず、何度、挫折しかけたことか…でも、耽美な文章と昭和初期の設定といい魅力的で諦めるには勿体ないと、読み進め春の章を読み終えた途端、やっと物語の招待状をいただき、扉のあちら側に行けました。メインキャラも凄いけど脇もなんて豪華で濃いこと…。おまけに三姉妹に託された琉璃玉の秘密ときたら…。でもこの濃い感じ嫌いじゃないです。秋の夜長にこそ、こんな物語を読むのも良いのではないでしょうか。続→

2010/10/06

yn1951jp

原作の魅力を超える物語とはなっていないと思う。尾崎の設定した魅力的な登場人物(女探偵、三人の娘を探す伯爵夫人、変態性欲の育て親)と大正末期から昭和初期のモダニズム風景(支那趣味、横浜の阿片窟、旅芸人一座、失われゆく貴族社会)を現代人によりわかりやすく効果的に展開する意図はわかった。解離性同一性障害(多重人格)、原子爆弾の開発、ツェッペリン飛行船などイメージを広げて冒険活劇としての魅力を広げているが、原作同様に物語としての消化不良は否めない。女探偵と三姉妹の物語をそれぞれ短編の連作にすると魅力的かも。

2014/12/10

えも

尾崎翆の映画脚本を津原泰水が小説化。女探偵、阿片窟、男装の麗人、伯爵家、旅芸人と、昭和初期の探偵小説のアイテムが目白押しです。文体も、乱歩や久作の風情を彷彿とさせるもので、著者一流の筆力を堪能しました。

2016/03/05

ふじみどり

尾崎翠の映画脚本を80年ものときを経て津原泰水が焼き直した作品。昭和初期の東京に躊躇なく懐かしさを感じられるのはむしろ現代作家の目を通しているためか、それとも時代を生きた尾崎翠の鮮やかな筆力か。古さを意識した新しさでもなく褪色の優美でもなく。融合?まずはそこに惹き付けられた。ノスタルジーを感じられる箇所も手短かで次々と展開するストーリーは大道ながら盛り上がりどころがあり、むしろ意外だった。融合しきれていない溶け残りのようなものも感じたが、馬脚も含め全体が好寄座の出し物を見ているようでおもしろかった。

2012/12/06

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