KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

飢餓浄土

飢餓浄土

飢餓浄土

作家
石井光太
出版社
河出書房新社
発売日
2011-03-11
ISBN
9784309020280
amazonで購入する

飢餓浄土 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ちゃんみー

何が正しくて何が間違ってるかなんて問題ではない。何を信じるか何を信じないかではないのか。ここに登場するどちらかといえば発展途上国の人たちは、仏教的にいえば誰もが業を背負って生きている。これほど極端ではないにしても我々も同じではないかと思うのである。それにしても石井光太さんは自分の身の危険を顧みずよくも取材ができるものだと感心します。

2014/10/07

cryptoryou

以前読んだ作品で、世界の貧困や飢餓の現状を知って愕然とさせられた、石井光太さん。今作は、取材の為訪問した東南アジア諸国やアフリカ諸国で、見聞きした、その国の現状や、そこに住む人々の暮らしを綴ったルポタージュ。戦争の爪痕に貧困、日常的に起きている現実が、これでもかと詰め込まれている。筆者の、ある種の興味本位さもうかがえるが、この行動力は凄いと思う。それにしても、表題の「飢餓浄土」、今ひとつ内容にそぐわない様な気がして、違和感を感じる。

2016/03/26

姉勤

東南アジアからインド、中東、そしてアフリカ。俗に第三世界と云われている国々を実際見て回った著者が、見聞した現代進行形の民話。現地の人々が、その土地に生まれ落ちた因縁から強いられる、苦界。内戦、差別、虐殺、飢餓、貧困、そして悲惨な過去の記憶…抗うすべなき人々がすがる、迷信や宗教、それを越えた諦観。それを一笑に付す我々の価値観、欧米や日本などの大国ががいう、人道や平和というエゴと、何が違うのだろうか。

2014/07/14

ヨクト

戦争・紛争の傷跡は人の心に残り続ける。その傷が人々に見せる幻が、その地域では噂や伝説として語り継がれている。この日本という国は今でこそ平和の国ではあるが、過去多くの国と戦い、多くの国を支配し、多くの場所でゲリラ戦を繰り広げた。ある地域では日本人兵士の亡霊を恐れということも。人種・宗教の違いから生まれる偏見や差別は、恐怖や不信感を生み、それが大きくなり虐殺や紛争につながる。日本にいるからこんな他人行儀な視点でいられるのだろう。

2013/10/01

澤水月

後の「戦争と都市伝説」に繋がる、極限状況で人の産み出す噂、怪談(のようなおぞましい事実)の数々。ルワンダ大虐殺の後、一見平穏に同じ地域に暮らす殺戮/被殺戮者たちの表情を一変させる「犬」への態度の訳。幾ら撃っても死なない日本兵の話、松谷みよ子にあった(あれは日露戦の狸だが)、まさかミャンマー側から語られるとは。枯葉剤作戦による奇形児の末路…。どれも胸塞がる話の筈なのに「日常」「笑い」と隣り合っているのが現実的。終話、薔薇咲く家と歌う魚の話は悲しいのにとても好き。しかし「飢餓浄土」という題はどうにもそぐわない

2013/04/21

感想・レビューをもっと見る