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きつねのつき

きつねのつき

きつねのつき

作家
北野勇作
出版社
河出書房新社
発売日
2011-08-25
ISBN
9784309020570
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きつねのつき / 感想・レビュー

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優希

ほのぼのとした日常でありながら世界はフィルター越しなんですよね。言葉にできない不思議な世界がふわふわと漂っています。何が起こっているのかよくわからない中で、春子ととおは日常を紡いでいるのですね。非日常と日常が混在する不条理さを感じさせる壊れた世界で妻と春子を守るとおが切なくて愛おしい。非日常と日常が混沌とした危うさの中で、最後に家族でお花見ができた爽やかさの対称性が印象的でした。

2015/04/17

うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)

春子と名付けた娘と親子三人のちょっと不思議な日常を描いた物語。「歌、隣、面、骨、暮、灰、線、花」全7話。子供たちが遊んでいる後をつける「骨」の話が好き。子供たちが遊んでいる様子が可愛かったです。保育園に入れる面接を受ける「面」はホラーチックな話でした。おむすびころりんの話がえげつないことになっていました。保育園からの帰り道いつもとは違う道を通っていると「線」綺麗なお月様を見るたびに思い出しそうです。全体的な物語の雰囲気は好きだけど、もしかしたら好みの分かれる話かもしれません。★★★

2011/11/03

風眠

作者自身が言うには「日本初、保育園送り迎えSF」ということらしいが、なるほど、と思う。物語に設定されている世界は、どうしてこうなっちゃったのかという明確なことは一切書かれていないが、その「もやっと」した感じがいい。近未来で科学的な感じと、日本古来からのじめじめした感じの混ざり具合が絶妙だった。科学で何でもできそうな設定だけれど、最後の最後は呪術的な雰囲気がなんとも言えず美しい感じがした。センスオブワンダーな春子ちゃんが可愛すぎる、そしてラストのお花見が美しすぎる。だから余計に切なくて、涙が鈴なりに流れた。

2012/03/07

キキハル

おかしな夢を見た。寝る前に読んだこの本のせいだ。不思議で奇妙な世界。ある出来事に飲み込まれたために、生きているのか死んでいるのか分からない街と人びと。それでも春子は駆け回り元気に遊ぶ。たどたどしい言葉つきで「とお」に話しかける。異形の「かあ」だって大好きだ。親子三人の暮らしがほのぼのと描かれるが、実はひどく凄惨ですべて不確かだ。作者には同年齢の子どもがいるのだろうか。曖昧な本書の中で、春子の存在だけが可愛らしく現実的でくっきりと際立っていた。狐に化かされた悪夢のように、風変わりなSFダークファンタジー。

2011/10/12

Zann

★☆☆☆★ディストピアな雰囲気から始まる序章から心を鷲掴みされた本書。娘春子と父の日常から始まる本文。母親の存在感がないままに話は進んでいく。装丁のふんわりとした印象を感じながら読み進めていくと、徐々に不穏な空気を纏っていく。春子の母親は肉の塊から再生され、天井と同化された状態で春子を産み落とし母乳を与えているらしい。父親も娘も人間を模した何からしい。章が変わる毎にプリズムの様に変化していく物語。3.11が根底にある作品なのか?読み手の読解力では完全に読み解くことはできなかったが、→

2017/11/23

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