ゆみに町ガイドブック
ゆみに町ガイドブック / 感想・レビュー
キキハル
なんて奇妙な物語だろう。読んでいる私は動揺し場の見当がつかなくなる。ゆみに町だろうか。川の中だろうか。酷い眩暈と乾きに襲われる感覚。全力疾走で逃げていく逞しいプーさん。雲マニアはまた失敗し、小説家はゆみに町で小説を書く。あったはずのものが振り返るともう無い。あるはずのないものが当然の顔して居座っている。絶対という概念が無いのだ。何故ならそれがゆみに町だから。この本はガイドブックではない。何のガイドもしていない。けれども読み終わる頃には、ゆみに町について誰よりも知っているつもりになる。大層不思議な町なのだ。
2011/12/28
しょこら★
なにこれー??ガイドブックというか…哲学ファンタジー?たまにふと、自分は誰かが読んでる物語の登場人物じゃないかとか、夢なんじゃないかとか、着せ替え人形なんじゃないかとか…考える、そんな感じ?超次元、永久ループ、メビウスの輪?不思議な物語(終わりはないけれど)だった。『現在は認知した瞬間に過去。』『完全に同時にふたつの音が鳴っているとすれば、それはひとつの音。同時に鳴っていると感じるには、べつべつに鳴るしかない。』難しいし、屁理屈くさいけどなんか納得。じゃあやっぱり別の音なのかな。
2012/11/23
そうたそ
★★☆☆☆ 「世界の果ての庭」に似た構成のストーリーだと感じた。幾つかの物語が並行し小刻みに且つ入れ替わり立ち代わり進んでいく。読書家って、この手の構成のストーリーを見ると、どうしても最後に上手い具合に収束されることを期待してしまうが、これは最後まで交わるようで結局交わらないまま。このよく分からない不明瞭なストーリーから何を感じ取るかはある意味受け手のスキルに委ねられているといっても過言ではないが、個人的には別に「なるほど」というほどのものを感じ取らなくとも、何かしら「いいな」と思えればそれでいいと思う。
2013/03/21
シュエパイ
気が付いたら、読み始めてから1年たっていました。男でもなく女でもなく、人間でも背高でも麝香鼠でもない、クリストファー・ロビンを探し続けるプーの姿に、町を覆う揺らめく幻想の姿に、なんだかずっとずっと惑わされ続けて。読んでは戻り、忘れてはまた思い出しながら、この町をさまよい続けました。最後のページを閉じてなお、まだどこか心が道に迷っている気がします。不思議な町の、不思議なガイドブックでした。
2013/04/01
mayu
日常だと思っていたらいつの間にか理解しがたいものに取り囲まれている。3者が語る世界は、時々リンクし、お互いに足跡を残しつつも同時にゆみに町にの中にある。この3つの世界は、そうやってお互いの世界にちょっとずつはみだしながら存在していくのだろう。
2013/06/23
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