愛について
愛について / 感想・レビュー
ひめありす@灯れ松明の火
若干の上から目線になります。私は『空に唄う』の青年僧侶の様な不器用で真面目な青年の純真な愛の物語が好き。だがこの白岩玄の文体はそうではなくて、『野ブタ。』やこの『愛について』のような世間を斜に構えてみて軽く乗って流せるスタンスで構えている青年の独白口調の方が、きっとしっくりくるのだろう。そういう意味では、この作者に必要なのは何と言っても絶対的な筆量、と発表・評価の場。デビュー六年でデビュー作含め三冊では評価のしようがない。そして自分の文体と合うものをつつきつめてく覚悟。文体と同じ軽いノリでは済まされぬ道だ
2012/04/29
そうたそ
★★★☆☆ 異色恋愛短編集と謳われているが、それは少し誇大広告。恋愛ストーリーでありながら、所々に著者のユーモアを感じる、「Visitor」とか「Little People」は小品すぎて、面白いのかどうかという判断も特に下せない。読んでいる間は、それなりに楽しく読めた。しかし、頭の中をそのまま過ぎ去っていく感じで、これといって印象に残ることはない。作者は、「野ブタ」から筆力的な面での成長はあるのだろうが、それと反比例するように、作品から個性が失われてきているように思えた。面白いけど陳腐な作品集。
2013/04/18
すきま風
好きだなあ、この人の小説。恋愛小説集、なのかな。恋や愛には本当に色々な形があるんだなと感じる。表題作の愛についても好きだし、終わらない夜に夢を見るの元恋人、現在は友達以上恋人未満だけど、男の方はまだ彼女が好きという危ういような関係も切ないけど、なんか好きだと思える。劇的な何かなんて起こらないけど、日常の、本当に些細な毎日が時になんだかキラキラして見えたりする。うん、自分好みの作品だ。
2016/10/22
ちくまる
私はこの本好きだった。なるほどな~って思った一文。『問題が生まれるのは自分が消えない欲をかかえているからで、人は満たされることのないそれを抱えているからこそ自分以外の他人を求めて関係を作ることができるのだ。』
2015/01/14
けえこ
自分好みの愛を得ることに貪欲な人たちの短編集(あとがきより) 「夜明けの海」は観念的な作品で理解しづらかった。
2020/07/01
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