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おしかくさま

おしかくさま

おしかくさま

作家
谷川直子
出版社
河出書房新社
発売日
2012-11-09
ISBN
9784309021416
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おしかくさま / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

コミカルなタイトルの割には中身はなかなかシリアスなお話でした。終始、ブラックジョーク的な雰囲気がありましたが、笑うに笑いきれない切実な思いが本作には秘められている気がします。新興宗教とお金にまつわる話を軸に離婚後うつになった主人公「ミナミ」が49歳という年齢の割になかなかバイタリティー溢れるキャラで好感が持てました。やはりうつに関する描写はリアリティーがあり、読んでいて決して気分が優れるモノではありませんでしたが、この描写があってからこそ、本作がしっかりと生かされているのかもしれません。複雑な読後感です。

2021/04/11

ままこ

鳥居の中にATMがある表紙に興味を惹かれ手に取った本。。ウツを患っていたミナミとその妹と姪に両親、計5人の視点がコロコロ変わりながら話は進んでいく。ネットにオフィシャルサイトがあるお金の神様「おしかくさま」インチキそうだけど完全にインチキともいえない不思議な存在。「お金と信仰」演説の場面はなるほどと思える事もあったがパフォーマンスとはいえあの行為は私の感覚ではもったいない…。諸々葛藤しながらだったので話に矛盾があり完全すっきりとはいかないが、ミナミが自己再生の一歩を踏み出せて良かった。【文藝賞受賞作】

2018/09/22

あも

"おしかくさま"はお金の神様です。お参りするのは公式サイトで発表されるATM。信者の元へ行く元教師の父、離婚後ウツになった姉、姉を心配する妹とその娘。震災や宗教、信仰といったテーマをお金を主題に、ややエキセントリックな姉のキャラクターに乗せて描きたかったのだろうとは思うが、いまいち響かず。お金と文学は相性が悪いのか。マイジョーや町田康のような改行なしの文体も短い上に視点がころころ変わるせいで話を追いづらい。ラストはやや爽快感あったものの、全体的に没入できず風邪引きの際に見た映画のようなぼやけた印象の1冊。

2017/11/14

優希

お社がATMなんですね。お金をめぐる群像劇という極めてストレートな物語でした。お金を通じて世の中の空気を描いている感じがします。お金があれば何とかなるというお金信奉について考えさせられました。お金は大事ですが全てではないですよね。お金と宗教を絡めた哲学のようなテーマの切り口は面白かったと思います。お金について考え直すきっかけになる作品なのではないでしょうか。

2015/03/19

風眠

主人公が鬱でニートで結構いい年で、そして女性。それはもう、絵に描いたような将来への希望の無さ。父親の行動があやしいという疑惑をきっかけに、お金を「おしかくさま」と呼び、ATMをお社にしている宗教と出会う。100%インチキだな・・と思いながらも、何となく宗教活動して、いつのまにかお札まで買っていて、そして他人の不幸を踏み台にして鬱回復の兆しを見せていく主人公。たくましいというか、図々しいというか、人間の嫌な部分の本質を垣間見たような気がした。終盤の「世の中ね、顔かお金かなのよ。」は、ぐるぐるしてしまう名言!

2013/03/03

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