ふる
ふる / 感想・レビュー
hiro
西作品2冊目。男性には理解しづらく、大阪弁の主人公という共通点から川上未映子さんの『乳と卵』を思い出す。花しすは28歳、職業AVのモザイクがけ、ICレコーダーで日常会話を隠し録りし夜それを聞く、他人には見えない白いものが見えるという主人公。その花しすの現在の話に、過去の話が挿入されて、話は進行するが、花しすの前に現れるタクシー運転手、医者等の名前がなぜか皆、新田人生という不思議な話だった。『きいろいぞう』でも感じた、ふあっとした雰囲気が西作品の持ち味なのだろうか。もう少し他の作品も読んでみようと思う。
2013/05/05
風眠
自分の立ち位置や存在意義とか、確かめるように会話を録音する花しす(かしす)。AV女優の局部にモザイク処理をする仕事をしている花しすの今と、初潮をむかえてから、要介護となった祖母の下の世話をする役目を与えられた少女の花しすと、行きつ戻りつしながら、女としてのアイデンティティを確立していく過程が描かれる。彼女の目に映る女の局部はどちらも同じ、女なのである。花しすにしか見えない、白くてふわふわしたもの、それは女への「しゅくふく」なのであり、育ちゆく未来への予感のような、生まれる奇跡のようなものなのかもしれない。
2014/07/11
くりきんとん99
前々から気になってた西加奈子さんを初読み。なるほど~、こういう作品を書く方だったのね~。普通の女の子の普通の日常を描いているようで、でもちょっと違う。不思議なものを普通に見てたり、普段の会話を録音してたり。優しい文章なんだけど、ちょっと怖いような、でもちょっと切ないような。初めて読んだ西さんの作品は、不思議な世界だったかな。
2013/03/17
なゆ
表紙からほんわかした話を想像するも、ラストに不思議感ただよう西加奈子ワールド全開。命の根源であるところの〝女〟ということを、改めて思い知らされる。花しすの、今と、小・中・高・大学・就職後の話を行ったり来たりしながら話が進む。白いふわふわしたものや、謎の新田人生という人物、降ってくる文字がとても気になって、一気に読んでしまった。波風をたてたくない、嫌われたくなくて言いたいことが言えない…という気持ちはなんかわかるだけに、ラストはガーンときた。花しすはきっと強くなってる。私もそうなりたいと思う。
2013/01/13
巨峰
言葉がぐっとふってくるところで、不覚にもこみあげるものがあった。僕も、沢山の言葉に、沢山の人に出会ってきたな、と。しかし、この小説、根本的に男が読んだらあかんものやないやろうか。
2013/09/07
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