きょうのできごと、十年後
きょうのできごと、十年後 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
柴崎友香のデビュー作『きょうのできごと』の10年後を描く。主人公たちの大半は30歳になっている。「三十にして立つ」(『論語』)を踏まえたわけではないだろうが、みんなそれぞれに社会の中で一定の位置を占めている。もっとも、正道だけは依然として定職を得られずに研究生活を続けているのだが。今回の6つの連作短編の核となるのは、中沢のスペイン・バルの5周年に、かつての仲間たちが参集すること。新たな登場人物としてはキカくらい。今回もとりたててプロットが大きく動くことはないが(それでも前回よりは動きが多いか)⇒
2023/06/14
hiro
前作を半月前に読み、そのあとすぐに映画も観た。前作と同様、‘きょう’に大きな話の展開があるわけでもなく、前作の10年後の一日が淡々と描かれているが、この10年間に彼たちに起こったことを読んでいると、やっぱりそうかと思うこと、えーと思うことが重なって、彼たちにもう一度会えて良かったと思う。また、10年経てば、中沢と真紀の関係どうなっているか、正道はまだ大学にいるのか、けいと、かわちはどうしているのかと大変気になるので、更に彼たちの10年後にも会ってみたい。行定勲には前作と同じ俳優たちでの映画化を期待したい。
2015/05/17
おくちゃん🍎柳緑花紅
「きょうのできごと」は未読なのに先に本作「きょうのできごと、十年後」を読んだが、それでもとっても良かった。今の自分は十年前の自分が全く想像していなかった自分で、そして十年後の自分は・・・・。歯がゆく、甘く、切ない。京都が舞台のお話は、それだけで私をひきつけ魅了する。
2014/12/15
あつひめ
十年、長く感じますか?短く感じますか?学生時代のように夢ばかりを追う年頃ではなくなっても、まだまだ迷いのトンネルから抜け出すことはできない。30代のトンネルは夢や希望とは違う現実と向き合うことだから。仲間って、時間を飛び越えて空白の時間を埋めてしまう。埋められないのは恋心だけなのかも知れない。青臭かった彼らが、現実の荒波の中でそれぞれのタイムラインを生きている。仲間だから弱いところも読まれてる。だから、少し見栄をはったり、強がったりしてみたくなる。でも、仲間だから大目にみてみてもらえるんだよね。
2015/03/29
Mumiu
「十年前」は映画が先でした。当時から中沢くんは結構どうでもよくて;^_^A。女の子たちはかわいいけどよくわかんなくて、正道くんが普通にすきでした。その院生になった正道くんの引っ越しパーティから十年。今度のパーティは中沢くんの町屋バルで。仕事に疲れていたり、失恋したり、予定外の人生だったり、研究者はやっぱり厳しかったり。でもそんな今の自分たちも悪くないよ⁈そうか、ああいう男に寄り添う女は、自分で完結して、男を喰わしていくくらいじゃなきゃダメなんだな。確かに教官たちはヒモ状態なのが多かったなあ。
2014/12/02
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