現代罪悪集
現代罪悪集 / 感想・レビュー
安南
大好きな辻原登&町田康両氏が褒めていたので、気になって購入。タイトルでテーマがまるわかりになってしまうのはどうなんだろう。なんだ?と思わせ、通して読んで、ああこれは現代日本の《七つの大罪》を描いたものなのか…と読み手に導き出させるようであれば、随分印象が違っただろう。タイトルで「これは罪を描いた本です」と宣言されてしまうと、訓戒めいて鼻につき素直に受けとめることができない。隠喩を含んだ怪談仕立てなのも、澁澤龍彦、バドニッツの読後だけに物足りなく感じた。フジテレビの『世にも奇妙な物語』を思い出した。
2015/03/03
ruki5894
帯に現代版七つの大罪とあったが、しかし、全ては最初の『亡失』に繋がるのではないか。亡失は本当に恐ろしい。足もとがぐらつくような怖さがある。その記憶は確かですか…?他の作品も読みたくなった。
2015/03/03
うーちゃん
冷静な筆致で"社会に生きる普通の人々"が嵌まる罪悪の罠を描いた短編集。シーラッハの短編集二部作に似ている。タイトルにも"罪悪"とつくし、もしかしたら影響を受けているのかもしれない。ただ、こちらの作品は思ったより難解で驚いた。何か一つはっきりとした悪事があるというよりは、人間は知らず知らずのうちに狂ってしまうことがあり、それを容易く明るみに出すことはできない、それが現代の罪悪というものだから。そんな意図のもとに書かれているのだろうか。原因や結果が今ひとつすっきりせず、読み物として楽しむには不向きと感じた。
2015/05/28
れんこ
不思議な内容だけど、続きが気になる本。何も考えないで読んでいたから読めたのかもしれない。
2015/10/23
ささやか@ケチャップマン
売れそうではないが私は好きだなと思えた。無機質で冷淡な文体で語られる現代はどこか薄気味悪い。七つの大罪のように「亡失」「等閑」「匿名」「紐帯」「雷同」「黙過」「増益」七つの短編が収められている。罪悪と言うと激しいものを想起するが、これはもっと静かな狂気性を帯びている。
2016/11/29
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