エンドレス・ワルツ
エンドレス・ワルツ / 感想・レビュー
あじ
アルトサックス奏者の阿部薫さんと、作家で女優の鈴木いづみさんに関心があって手にした小説。酒、煙草、薬で退廃した二人の空間を“いづみ視点”で物語る黴臭さがたまらなかった。稲葉真弓さんの長編は「さよならのポスト」しか読んだ事がなく、がらりと印象が塗り替えられた。
2020/05/21
マッピー
もう絶望的に苦手だわ、こういう世界。五体満足に生まれて、なのに何かの被害者であるかのように、自分を受け入れない世の中に反発し、酒や薬に頼り、現実に向き合おうとせず、破壊するだけで生産的なことはせず、…。ああ、嫌だ。甘えてる。解説で小池真理子が”純粋さは、それを究めようとすると、皮肉なことに、果てしなく人を堕落させてしまうことがある。”と書いているが、純粋を言い訳にする時点で不純じゃないか?もう本当に、こういうの、無理だ。
2023/12/07
のれん
70年代に実在した都会のジャンキー奏者と女優作家が耽溺した退廃的な世界を描く。 こぞって真面目に戦後を考えようとして、結果が出ずに十年。メディアは醒めるようにして娯楽に熱中するように。クスリを使って瞬間的な絶頂を得る。そんな音楽が映画が求められた時代だった。それだけが強く伝わった。 しかし、酷使された体はさらに十年後までは保たず、彼らは死を否応なく選び取らなければならない。 あの狂乱はなんだったのだろうと若いときを振り返ることはあるけれど、ここまで退屈で阿呆で哀愁を漂わせる時代を私は知らない。
2020/08/01
kenitirokikuti
(稲葉真弓=)倉田悠子『黒猫館・続 黒猫館』(くりいむレモンシリーズのノベライズ)復刊を受けて、稲葉氏の代表作を手にした。『黒猫』の方は、原作者に該当する真行寺たつや氏は福永武彦「廃市」のイメージと言っている。『続』の方は真行寺氏は制作から離れており、そのノベライズはだいぶ稲葉氏が自由に書いてる印象▲70年代、政治の季節が終わり、根暗でサイケなムード。睡眠薬を飲んでラリるさま、自分は間接的に分かる年齢だ▲〈街を歩けば「宇宙戦艦ヤマト」の主題歌が突き抜けた明るさで流れてきた。〉〈酔う時代ではなく覚める時代〉
2020/07/04
Jennico
息苦しくて哀しい物語。
2015/11/11
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