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港、モンテビデオ

港、モンテビデオ

港、モンテビデオ

作家
いしいしんじ
出版社
河出書房新社
発売日
2015-08-26
ISBN
9784309024042
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港、モンテビデオ / 感想・レビュー

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なゆ

港といいつつも漂流してるような不思議な話。いきなり不思議を引きずりながら読む。港町、灯台、路地裏の猫っ玉、世界中の港町の名前のスナックやバー、そしてモールス信号PRESENTA。もともとエッセイでいしいさんと三崎の魚屋さんが懇意であるのは知ってたので、気になってた一冊。三浦半島の三崎で魚屋を営む夫婦と、そこに出入りする天然パーマの男慎二。そこからどうモンテビデオに繋がるのか。私にとってはけっこう難解。終盤になってやっと少しパズルのピースがかみ合い浮かんだ〝鎮魂〟。けど、どこまで読みこめたかは自信ない。

2017/07/05

眠る山猫屋

ちゃんと読み解けたか自信は無いが、それでも響く・・・ジョワアアンとギターが鳴る。三崎に住む宣と美智世の夫婦、そしてなんとなく住み着いた慎二。寂れていく三崎港で魚屋を営む美智世は横須賀の美術館で印象的な絵画と出会う。そして宣と慎二は町で起きる不思議な事件に巻き込まれるようにして、異界の扉を潜ることに。60年暮らした町が静かに廃れていく、そして町のスナックやバーが次々と消失していく。宣は夜道に惑わされ、消えたバーにたどり着き、そこから次々と異国の港を彷徨う。過去のバルパライソではチリの国民的詩人(続)

2023/10/25

zirou1984

記憶と言葉は形を持たぬもの。それは時空を自在に圧縮し、荒波のように思わぬ場所へと私たちを運び去る。しかしながら、時に記憶は形あるものと分かちがたく結びつく。土地の持つ記憶、潮騒の調べの持つ言葉。海の匂いひしめく三崎湾に住む家族は、その港が持つ記憶の中へ流れ去り、触れえた絵画や小説を頼りに言葉の世界を漂流する。感傷が凪と溶け合っていくような、悲しみが澱の様にゆっくりと沈殿していく読後感。何も語ることなく、それでいて理解の手を差し伸べようとしている、不可思議ながらも満たされた気分を味わえた。

2016/01/20

booklight

『みさきっちょ』を読んで、その中で書かれていたので。初めていしいしんじを読み通せた。なるほど、そういうことね。記憶の中にある複数人の過去未来をシームレスにつなげる。様々な情報や印象をインプットしていしいしんじというブラックボックスを通すと、こういう小説ができるんだ。今までは話の筋が追えなくて、気になって、途中でやめていたが、今回は話の筋を知っていたので安心して読めたのがよかった。物語の現実性でなく、心の反応の積み重ね、という意味では実に絵画や音楽的。こういう小説もあるのだなぁ、やっと理解ができてよかった。

2022/08/29

たんたんx

「プラネタリウムのふたご」を読んだことがあるが、今作はずい分印象が違う。文もちょっと読みにくく、つかえつかえしながら何とか読み終えた。マジックリアリズムの手法を使って、誰かの夢の中にいるような幻想的な世界が描かれていく。三浦半島、イングランドのセント・アイヴズ、チリのバルパライソ。海で生を終えた人たちに思いを馳せれば、「世界中の港町は、海でつながっているんだなあ」と、改めて気付かされる。しかし物語はあれこれ詰め込み過ぎて、焦点がぼやけてしまっているように見える。どうして、慎二が選ばれたんだろう。

2017/03/11

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