葬偽屋は弔わない: 殺生歩武と5つのヴァ二タス
葬偽屋は弔わない: 殺生歩武と5つのヴァ二タス / 感想・レビュー
スパシーバ@日日是決戦
C (2015年) 「またのご臨終をお待ちしております」。死のうと歩道橋の手すりに手をかけた瞬間、背後から「4ヵ月間おまえの命を預けてみろ」と声がかかった。葬偽屋(自分の死後の周りの反応を見たいという人のために、偽の葬儀を行なう商売)の受付嬢として働くことになった主人公。各短編の評価は以下の通り。「○ シャボン玉、消えた/蝶々、遊べや止まれ/砂時計、さようなら、こんにちは/頭蓋骨のためのレクイエム/貝殻鳴らそ」。人からどう思われようと、常に全力投球のオレには葬偽なんて不要だぜ!
2016/01/27
桜父
森晶麿さん4冊目。元保険調査員の「高浜セレナ」は不幸が重なり自殺しようとした所に「殺生歩武」と出会う。歩武に4か月間の自殺の猶予の代わりに「葬偽屋」を手伝う事になる。生前葬ではなく偽の葬儀をする事によって人々の気持ちに踏ん切りを付ける。ありそうでなかった職業を小説にした所が面白かったです。葬偽をした人それぞれ面白いキャラクターで楽しめたが、セレナと歩武の恋の話は余計だったかも・・・美術の話は「はるかぜ美術館」を彷彿とさせてニンマリしました。続編を読みたいけどこの話続くかな?
2016/01/19
itica
嘘の葬儀を「葬偽」と呼ぶ。自分が死んだら相手がどう反応するのか、本心が知りたい、と言うことから生まれた仕事。依頼内容を探る場面がちょっとしたミステリー仕立てになっている。読む前は「葬偽屋」などと言う職業は架空でも無理があるのではと考えていたが、思いの外面白かった。死を意識することで生を見つめ直す。本当の意味で「生きる」とはどういうことなのだろうか・・・となかなか深い。
2015/12/24
やまさん
「葬儀屋に涙はいらない」読んだ後の再読。忘れていたセレナと歩武の出会いも納得。母に会いたい少年、好きになってしまったのが自分の父親であったクラブのママ、セレナと同じ男性を愛していた女性、歩武の盟友・黒村と確執あった暴力団組長、歩武の元妻の再婚相手の男性と5つの「葬儀」を通しての「人生なんて、休み休みでいいのさ、息抜きのために、生き抜けってな」という教訓。私自身、現在定年前の年齢。今の若い方にこの言葉送りたいですね。人生で得た肩書なんかたいしたのもでもないし・・自分らしく本当に休み休み歩んでください。
2018/07/27
九月猫
臨済宗煩悩寺第三十六代当主、殺生歩武の裏の顔は葬偽屋。葬「儀」ではなく葬「偽」というのがおもしろい。語り手のセレナちゃんも、「殻」作りの黒村さんも好き。5つの依頼をヴァニタスに彩られた絵画をモチーフにする森さんお得意の展開も好き。と、好きな方の森作品でうれしい♪3話のキョウちゃんの正体は「ずるい~」と思ったけど、じんわりする言葉がたくさんちりばめられていたのもこのお話。私も砂時計をひっくり返そう、何度も何度も。4話に『ホテルモーリス』のギャング「ウサギファミリア」の名前を見かけ、にやり。続編を期待♪
2016/02/17
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