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消滅世界

消滅世界

消滅世界

作家
村田沙耶香
出版社
河出書房新社
発売日
2015-12-16
ISBN
9784309024325
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ジャンル

消滅世界 / 感想・レビュー

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W-G

日本養豚場化計画(笑)作者は同い年。私も子供の頃、キャラに恋する人間が周囲に出始めて「新しいな」と感じた記憶がある(セーラームーンが先駆か)が、作者も似たような原体験があるのだろうか。性の在り方や、人との繋がりを考えさせられるが、その裏に見える国や自治体の存在が恐ろしい。ほとんどの作家がネットの仮想現実で描こうとするような世界観を、リアルをベースにしているのが新鮮。人々の思想面は実は現実世界と似通った面も多く、その類似性が心憎いほどきいている。芥川賞、あまり興味なかったが掘り下げてみようか。

2016/08/10

Yunemo

著者作品初読み。夫婦でセックスするのが近親相姦、うーんと考え込む。いつの間にか性欲という本能が消滅、何のための男と女。やはり、異様な狂気の世界、でもこの世界が一般的なものなら、自身がはみ出し者に。何だかこの世界に毒されながら、現実を見てみると、草食男子の増加、少子高齢化世界へまっしぐら、これって作品上の異様な狂気の世界で解決できるんでは。こんな想いにかられます。男も女も均一に人類のための子宮、子供は人工授精で計画的に出産。本能がないのだから欲求不満に陥ることもなく、でもやっぱりつまらない世界。何が正常?

2016/02/13

zero1

「クレイジー沙耶香」全開!もう恋愛や家族は必要ない?人工授精が当たり前の近未来の日本に希望はある?「殺人出産」を読んだ私は設定に慣れが生じていた。それでもディストピアを描いた本書は「コンビニ人間」と同じく「普通とは何か」を読者に問う異色の問題作。主人公の女性が母親との会話で示されているように、「何が正常か」は時代とともに変わる。人は完成形ではなく途中の存在だ。作品の中で夫との性行為は「近親相姦」になっている!ただ人工子宮は実現がまだ先だろうし、後半の駆け落ち以降は行動に説得力がない。

2019/02/27

抹茶モナカ

価値観を揺さぶる作品。正常な感覚、発狂について、考えさせる。家族、セックスのない世界についてのディストピア小説。思考実験でもある。実験都市の千葉県に移住してからの世界観はものすごい。オリジナリティー溢れる作家さんだ、と、感心しました。

2016/07/02

おしゃべりメガネ

作品を重ねるごとに、その独特な世界観がますます際立ち、果たして村田さんはどこに行きつこうとしているのか、ますます不思議なキモチになる作品でした。とにかくその世界観にひたすら驚愕です。普通に考えると、まず有り得ない世界観なのですが、村田さんの淡々と綴る文章に引き込まれ、知らないうちにすっかりその村田ワールドに違和感なく染まっている自分がいます。『殺人出産』でもその独特なテーマで読む側を地味に圧倒してくれましたが、今作は圧倒するというよりは、完全に黙らせるくらい扱っているテーマ、そして世界観がぶっちギリです。

2016/03/19

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