クロニクル・アラウンド・ザ・クロック
クロニクル・アラウンド・ザ・クロック / 感想・レビュー
紅はこべ
文庫三部作をハードカヴァー一冊にまとめるという、普通とは逆の形式。私は文庫版の存在を知らなかった。津原さんの音楽小説を読むのは本作が初めて。音楽小説、教養小説、恋愛小説、ミステリ、それら全部の要素を併せ持つ。少女の語りは違和感なく達者。男性作家で女性の語りが巧みなのは、この人と米澤穂信かな。恋愛小説の面が一番良かった。音楽の技術面の描写はよく分からなかった。バンド経験者なら通じるんだろうな。ニッチの死に意味があったんだろうか。絶対音感を持つ生徒をいじめる音楽教師って、ひどいな、それ。
2017/09/29
そうたそ
★★★☆☆ 先に新潮文庫で三冊にわたり刊行されていた作品を一冊にまとめ出版したもの。津原さんの作品といえば、SF・幻想的な雰囲気の強いものが最近では多く、やや人を選ぶ作品が多いという印象だがこれはそういう意味では万人に薦めやすい内容。青春犯罪小説と帯に書かれているものの、限りなくミステリの要素は薄い気がする。真相が二転三転する辺りミステリっぽい意外性はあるのだが、やはりこの作品の魅力はそこでなく主人公の成長を描く青春小説としての部分ではないかと思う。作者のロック・音楽愛が作品に滲み出ているのがまた良い。
2016/02/25
yumiha
怪奇的な『ピカルディの薔薇』が怖すぎたので、津原泰水作品を敬遠していたのだが、読み友さんレビューにつられて読了。な~んも怖いことあらしまへん。同じ作家?と思うほど印象が違う。端々に見方や表現に津原泰水的なものが見えるけど、な~んも怖いことあらしまへん。ロックバンド「爛漫」をめぐる殺人事件を、絶対音感を持つ「くれない」さんが追ってゆき、そこに楽器などの音楽的要素が盛り込まれた作品。章ごとに犯人が変わってゆくただならないミステリーちゅうとこか?「くれない」さんの人物像が私好みだった。
2017/10/19
Shimaneko
読み終わるのが惜しいほど魅了されつつ、でも先が気になって止められないという至福の読書体験を堪能。「若々しい孤独と情熱」(解説より)を描いたバンド物+少年少女の成長譚といえば、自分的に即連想されるのは森脇真末味の名作コミックで、爛漫も音的にはスランのイメージ(どっちも妄想だけど)。くれないと鋭夫の無駄な会話が最高にキュートで、最後のシンプルな4行では、いい年こいて思いがけず、そして自分でも理由の分からん涙がほろり。面白かった!
2017/09/21
miroku
凄いな・・・
2020/09/30
感想・レビューをもっと見る