逆さに吊るされた男
逆さに吊るされた男 / 感想・レビュー
ケンイチミズバ
新興宗教に引っ掛かる人には共通項がある。アムウエイみたいなビジネスも極端な断捨離、変な右も左もみな裾野の広い新興宗教の延長線上にあると私は思っている。キリストも親鸞にも天夢の啓示があったそうだ。凡人にも神が降りてきたはよくあることだ。ただの夢や自然現象を思い込みや勘違いかもしれないと普通なら終わらせる。自分を神だとか教祖だと名乗るいかがわしさが私は大嫌いだ。大衆を信じ込ませる屁理屈の上手さは政治も同じだが。真実は知らない。カルトの暴走くらいにしか。殺人を勝手な解釈で正当化するのはジハードと同じテロと同じ。
2018/01/15
M
始めにノンフィクションなのかフィクションなのかごっちゃなのか分からずに読み始めたのですが、読み終えてもなんなのか分からずじまい。著者がオウム(麻原)に対して徐々に主観的で感情的になってきて妄想めいてきて、読者はおいてきぼりで煙に巻かれてフェイドアウト。物語でも構わないから責任持ってまとめなさいよ。(笑)
2018/10/05
Tsuyoshi
主人公である女性作家が地下鉄サリン事件で死刑囚となったYとの手紙や接見でのやり取りを通してオウム真理教やサリン事件など一連の出来事に迫っていく話。事件前に引きこもりの兄の心の闇に触れているだけに主人公がオウム真理教の内面世界や引き寄せられた人々に興味が湧いていったのも自然な事かもしれない。オウムだけでなく他の宗教や陸軍、原爆にも触れられており、自らが持ち得ないエネルギーへの渇望が人々を狂気に駆り立てていく根底にあるのかなと思った。
2018/01/22
ネギっ子gen
オウム真理教の話だが、底流に“お兄様”の存在があり、ランディさんは、まだここをしっかり抱きかかえておられる、と嬉しかった。題名、装幀共に良し。【共感箇所】<一事が万事、こんな調子。ひらめくの。あー、そうか!って。このひらめきは魅力的で、抗しがたい力をもっている。オウム真理教との心理的な共鳴が起こってしまう。危険なことだとわかっていても>。 私が主人公同様に躓いた、板橋興宗禅師の言葉。「反省とは事件を忘れてしまうことだ」これぞ禅僧の公案。エゴに囚われている者への「喝」。とは頭で理解していてもどうにも腑に……
2019/11/21
キク
元オウム幹部だった故林泰雄と長年交流していた田口ランディによる、ノンフィクションノベル。交流を通して徐々にオウムや麻原に引き寄せられていく田口。その危うさは、「なんでこんな優秀な人達が、麻原みたいな汚いオジさんに惹きつけられたんだ?」という当時の世間の疑問でもある。麻原が真実を語らないまま死刑が執行された。でも詐欺師の教祖と危険な教団という事で問題を終わらせては絶対にいけなかった。書かないでくれという林を振り切り出版した田口は、本当に業の深い人だけど、だからこそコンセントという小説を書けたんだとも思う。
2021/02/10
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