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漂う子

漂う子

漂う子

作家
丸山正樹
出版社
河出書房新社
発売日
2016-10-27
ISBN
9784309025117
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漂う子 / 感想・レビュー

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風眠

読み終わり、本を閉じる。淡いブルーの額紫陽花を背景に、白いワンピース姿の少女の横顔。それは全てを受け入れた上で、何もかも諦めたような表情だ。そこに浮かび上がる『漂う子』というタイトル。私は何度も本の表紙を撫でながら、この社会にある闇について考えていた。居所不明児童、虐待、援交、児童ポルノ・・・。私には見えてないだけで、確かにある現実。私の頭で考える以上にそれは過酷なのだろう、私の想像ではきっと追いついていない。だから私は表紙を撫でる事しかできないでいる。家族団欒、辛抱強い愛情、これは額紫陽花の花言葉。

2017/01/12

yoshida

丸山正樹さんの作品を読むのは「デフ・ヴォイス」に続き2作目。私の知らない事が世間には沢山ある。居所が確認できない子供を「居所不明児童」という。カメラマンの直は恋人である小学校教師の祥子から、彼女の学校にも居所不明児童の女児がいる事を知らされる。直は女児を探しに出るが、そこには私達の日常からは想像のつかない現実が待っていた。捨てられた子供を「棄児」というのも始めて知る。親が子を殺しても罪が軽い現実。そして、債務に追われ子供を商品化する親の残酷さ。子供をもつ事、子供を育てる事の覚悟について考えさせられた作品。

2017/04/09

おしゃべりメガネ

読メに旋風を巻き起こした前作『デフ・ヴォイス』からの2作目が満を持して登場です。期待を全く裏切ることなく、完成度の非常に高い社会派な作品でした。前作の独特な作風を崩すことなく、なんともいえない緊張感のある雰囲気は見事に引き継がれ、今作もシリアスなテーマに真っ向から挑んでくれています。今作は'虐待'や'居所不明'な児童を扱った内容で、またしても我々が普段知ることのない問題に、しっかりと直面させられます。子の生命(いのち)に対する尊厳も見事に綴られ、最初から最後までまさしく一気読みで、涙が止まらなかったです。

2016/10/29

さと

漂う子の如く、「じゃぁ どうすればいいの?」その疑問が私の心の中で漂い続ける。毎日車窓から見える沢山の家々、日を浴びる洗濯物、主を待つおもちゃ・・・家族、家庭というスチールを絶対のものとして生きてきた私への一撃。もしかしたら、私たちが無責任にも作り上げた幸せな家庭、理想の家庭というスチールが、そうなれない大人たちを闇へと追い込んでいることはないだろうか。闇の中で生きる事を余儀なくされた子供たちを救うことは、私たち大人の義務だが、大人たちも気付かないところで叫び苦しんでいるのだとしたら・・・。(続)

2017/01/18

いつでも母さん

書き出しのざわざわ感が半端ない。そしてのラストは胸を抉られた想いだった。私たちは平和な国に生まれ暮らしているのだよね?が、なんだ、この虚しさは。お役所云々は話がずれる。親として人としてどうなの?という事に行き着くのだ。直の家族にも違和感があった。直の選択は覚悟はこの先の人生が示してくれるだろうさ。いい子どもだったから、良い親になれるとも限らないよね・・嗚呼、紗智よ、君は何処へ行く?少女はいつまでも少女のままじゃない。が、逞しく社会を生き抜けるほどこの国は優しくもないのだ。丸山作家の新たな問題提起です。

2016/11/19

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