さざなみのよる
さざなみのよる / 感想・レビュー
starbro
2019年本屋大賞ノミネートということで、読みました。ノミネート作10/10、ようやくコンプリート!!! 木皿 泉、初読です。本書は、発売されてから1年以上経過しているので、新作ハンターとしては失格です。癌で亡くなった小国 ナスミを巡る群像劇、ほのぼのとした佳作ですが、本屋大賞を獲るまでの勢いはありませんでした。
2019/06/29
ろくせい@やまもとかねよし
人生は個人のものだけはないのだろう。ある女性の死を中心に「生」を考察する物語。自己意識は極限的に孤独でしかなく、それは大きな恐怖でもある。そのため、生きている時間の中、意識は自己を保身する利己性と他人を慮る利他性に折り合いをつけ、そのときそのときの自己正当でやり過ごす。しかし、本書は「生」が個人の意識をはるかに超越する価値だと表す。生きている私たちにとって不変な存在である時間。14のエピソードを繋ぐ時間をゆるやかではあるが、確信的に曖昧にさせ、そこで起こる日常たちを強く太く色鮮やかな糸へ優しく優しく紡ぐ。
2020/12/20
ウッディ
43歳の若さでこの世を去ったナスミ、彼女の不器用で少し乱暴で、それでも真っ直ぐな生き方は遺された人達の心にさざなみを残し、広がっていった。淡々としながらシミジミと綴られたナスミのエピソードは、読者の心にも何かを残したような気がする。病院に出入りする人達を文字に見立てて話したナスミとのたわいない会話を回想する日出夫の気持ちが切なく、愛する人を喪った男が思い出すのは、永遠に続くと思えた幸せな日常の一コマなのかもしれない。本屋大賞候補にも納得の一冊でした。
2019/05/03
抹茶モナカ
NHKの正月特番ドラマ『富士ファミリー』の前後の話。ナスミの死から小説が始まり、ナスミのエピソードが断章形式で積み重ねられて行く。ナスミはドラマの影響で、どうしても小泉今日子に脳内変換されてしまった。ハッとする文章がちりばめられていて、温かい眼差しの木皿泉らしい本。
2018/05/31
ヲム
たとえ自分が死んでも、ナスミの様な感じでみんなの中にいつでも登場出来るように生きようと思いました。
2018/05/01
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