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平家物語 犬王の巻

平家物語 犬王の巻

平家物語 犬王の巻

作家
古川日出男
出版社
河出書房新社
発売日
2017-05-26
ISBN
9784309025445
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平家物語 犬王の巻 / 感想・レビュー

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chimako

母の腹の中で父親に生け贄にされた赤子。赤子の美しさも清らかさも全てを奪われ、穢れと汚れをまとい生まれた子。名も与えられず、顔を覗かれることもなく、ましてや抱かれることも乳を含ませてもらうこともなく育つ穢い子。それでも殺すことは許されず、自分の力で生き延びる汚れた子。やがて自分で自分の名を決める。犬王。……ある日父と檀ノ浦に潜り、秘中の剣を拾い上げ、その剣に光を奪われた男児。盲て琵琶を奏でる者となる。その名を友魚。目の見えぬ友魚と異形の犬王は生涯の朋となる。これは二人が駆け抜けた物語。張りつめた物語。

2021/09/18

ひらちゃん

平家物語は学生の頃、吉川英治訳で読んだきり。古川さんの訳を読んでからのがこちらはよかったのかも。エンターテイメント煽るる犬王(猿楽)と友魚(琵琶法師)の物語。犬王は実在して世阿弥と人気を二分してたそうな。ここに出てくる犬王は数奇な運命に翻弄されつつ力強く生き抜いている。終始、能を見ている様な錯覚の異な文章に惹き込まれた。

2017/07/21

shikashika555

映画が今ひとつしっくり来なかったのでこちらの方がわかりやすいかと読んでみた。映画では曖昧にしか説明されていない箇所の答え合わせができたかな。 とてもスピード感のある運びで 所々走るような感じがした。これは活字より口承文芸の方がよりピッタリ来るのではないだろうか。 そして欲を言えば、関西の言葉に置き換えてみたら 標準語ではこぼれてしまっている質感も拾えそうだな、などと思う。 本当に勝手な感想で恐縮ですが。

2022/07/10

路地

もう1人の主人公とも言うべき琵琶法師の語りを思わせるリズミカルで疾走感溢れる文体。それでいて、時代背景や夢幻能の成り立ちがしっかり書き込まれているので、知的好奇心も満たされる楽しい作品だった。久しぶりに能を観に行きたくなる。

2023/04/13

はにこ

割と最近平家物語の話を読んだのでその語り部や演者の話は面白かった。今よりずっと昔からこうやって話を紡ぐ人が居たということが感慨深い。犬王という人のことは知らなかったけど実在していたのか。親の欲によって醜い姿で生まれた犬王が技を得ることで蛹が蝶になるかのように生まれ変わる姿が目に浮かんだ。

2023/07/26

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